OpenStackの"Core"を再定義し、シンプルで拡張性の高い実装に
OpenStackというプロダクトとは一体何なのか――Collier氏はこんな命題も提示した。
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当初は、コンピューティングリソースの「Nova」と、その上で動くオブジェクトストレージ「Swift」のみで構成されていたが、現在は関連プロジェクトが多数あり、定期リリース(最新版は昨年2月リリースのJuno、今年4月にはKiloがリリース予定)に含まれる「Integrated」、育成プロジェクトという位置づけの「Incubated」、さらにはOpenStack非公認コミュニティのプロダクトなども存在する。そうした中、単純に「OpenStack」と言った場合どこまでを指すのか。それがCollier氏の投げかけだ。
Collier氏によると、現在では定期リリースに含まれるプロダクトを指すことになるが、今後は改めて定義されるCoreになる見込みだという。
「ブロックストレージ管理のCincerをはじめ、DBaaSのTrobeなど、Novaの"Friend"は増えている。ただし、例えばDBaaSがどのクラウド基盤にも必要かと聞かれると決してそうではない。Novaにとっての"BFF(Best Friend Forever)"がどれなのか。そういった視点で選定する必要がある」(Collier氏)
調査によると、Nova以外で利用率の高いプロダクトとしては、Cinder、Nertron、Glance、Keystone、Swiftといったところだという。そうした結果を踏まえ、Collier氏は「現在のIntegratedのように、提供側による線引きは必要ないのかもしれない」説明。今後はCoreの安定性を高めることにフォーカスし、その上に乗せる機能はユーザー側で選ぶ。シンプルに実装できて、高い拡張性を確保するような環境を目指すという。
6ヶ月リリース、ドキュメント再設計など、利便性を向上へ
Collier氏は今後の方針として、Coreへのフォーカスのほかに、開発方針やオプションモジュールにも言及した。
開発方針に関しては、デザイン、開発、コミュニティ、ソースの4つをオープンにしていくほか、リリースサイクルを6ヶ月に、イベントを年2回開催する意向を示した。Core上で動作するオプションモジュールに関しては、"OpenStack Way"に準じて開発されたものを用意することを説明。各プロジェクトの成熟度や導入状況などもタグ等により視覚化するなど、より深い情報を提供する。
Coreに関しても、再定義/実装を進めると同時に、OpenStackを活用したダウンストリームのプロダクトに影響がないか互換性テストを進める。さらには、ナレッジの共有を目的としてドキュメントの再設計にも着手するという。
Collier氏は最後に、OpenStackがコミュニティの力で進化していることを改めて強調。ドキュメントの再設計をはじめ、多くのプロジェクトでコントリビューターを求めていることを訴求したほか、今年5月のバンクーバーに続いて10月に東京で開催されるOpenStack Summitへの参加を呼びかけ、壇上を後にした。