ここのところ、若年層へのプログラミング教育を行う動きが進んでいる。その先頭を切る企業が「ライフイズテック」だ。

同社は、2010年に設立したITベンチャーで、主に中学・高校生を対象としたプログラミング教育のワークショップ企画・運営を行っている。2014年夏にはKDDIと共同で被災地の中高生を対象とした「IT教育支援プログラム」を実施するなど、様々な大手企業の協力しつつ、次世代のICT人材の育成を図っている。

今回のプログラムは、このライフイズテックと日本マイクロソフトの協力によって実現しており、三田国際学園中学校・高等学校(現・戸板女子中学校・高等学校)の生徒36名を対象として行われた。同校はICT教育に注力しており、1人1台のタブレット配布などの取り組みも行っている。

マイクロソフトも中高生からのプログラミング教育はかねてより取り組んでおり、世界最大の学生向けITコンテスト「Imagine Cup」や、学生向けの無償開発環境の提供、学生開発者への支援など、その取り組みは枚挙にいとまがない。

日本マイクロソフトとしては、ICTによる教育支援として「Windows in the Classroom」という学校側の体制づくりから支援を行っている。そのため、パートナー企業と教育機関、NPO、そして当事者となる若年層の全ての包括的な支援態勢、連携を図っていく下地ができているわけだ。

先ほど取り組みの一つとして挙げた「Imagine Cup」は2003年より毎年行われているコンテストだが、各国の代表がしのぎを削るイベントであるため、日本マイクロソフトとしてもかなりの力を入れている。もちろん、この大会が全てではないものの、様々なチームが切磋琢磨する中で、学生の頂点が決まるため、その国のIT教育水準がわかると言っても過言ではない。

実際に、日本マイクロソフトの取材を行う中で、Imagine Cupに携わる社員の並々ならぬ熱意を感じており、ICT教育全体の質の向上がこの大会における日本勢の活躍に繋がるという意識もあるようだ。

その"ICT教育"という側面で、三田国際学園も負けてはいない。このプログラミング教育授業は30名の枠が用意されていたが、これを大幅に上回る授業参加希望者が出たため、急遽枠を増やして36名が授業に参加した(6名だけと思われるかもしれないが、報道陣の取材が入るため、写真撮影などを保護者が了承した生徒のみの参加であるため)。元々、ICT教育に力を入れる学校だけに、生徒たちもその分野に対する熱意を持っていることが見られるエピソードと言えるだろう。

ワークショップスタート!

実際のワークショップでは、日本マイクロソフトの授業らしく(?)Windows Store アプリ開発を行った。

1人1人に用意されたSurface Pro 3などのPCにインストールされているVisual Studio 2013を利用してアプリを開発する生徒たち。

アプリはJavaScriptで書くため、難易度はそれほど高くないものの、中高生にとってはわからない用語も多かったようで、ライフイズテックの"先輩"たちに尋ねるシーンが多く見られた。

ライフイズテックの授業では、このように自分たちと年齢の近い大学生などが自分の席まで来て優しく教えてくれるため、1人で勉強したり、学校で1人の先生が全体に教えるよりも学習効果が高い印象を受ける。

こうした「次世代のIT人材を育成する取り組み」は着実に始まっているものの、一握りの学生しか体験できていない現状がある。日本マイクロソフトのICT教育環境の整備に対する取り組みなどはその"底上げ"を図っているものだが、行政も関わる問題であり、まだまだ課題が多い。IT企業がこうした取り組みを地道に続けていくことで、社会全体が「次世代のIT人材を育てる」という目的を共有できるようになることを、願わずにはいられない。