ITインフラやハードウェア、ソフトウェアの発達により、情報処理基盤は数年前に比べて格段の進歩を遂げている。これによって「情報処理」がコモディティ化し、ビッグデータを活用した各種予測システムや、コンピュータが理解し得る定量データの入手は容易になった。しかし、いまだにデータとツールがあれば「分析」が実現できる……という誤解はビジネスシーンに蔓延しており、そもそもの「分析」のスタートラインが間違っているケースが多いと主張するのが楽天研究所の森正弥氏だ。同氏は12月9日(火)に開催される「マイナビニュース フォーラム 2014 Winter for データ活用」のキーノートスピーカーとして登壇し、事業で成功をつかむために「本当」に必要とされる、時代をとらえたデータ活用の考え方やアプローチについて、楽天における成功事例をもとに詳しく解説する予定だ。

マイナビニュース フォーラム 2014 Winter for データ活用」の参加申し込みはこちら(参加費無料、12月9日(火)開催、東京都千代田区、開場9:30~)

分析のために"本当に"必要なものとは?

楽天株式会社執行役員 兼 楽天技術研究所 代表 森 正弥氏

趣味で科学誌を購読しているという森氏は、最近になって「言語や数学には限界があるということがわかってきた」と語る。同氏によれば、今の科学は「観察すらできない」「法則が成り立つのかどうかもわからない」……つまり、常人の理解の範囲外にあるものを扱おうとしているという。

少々話は飛躍するかもしれないが……「妖怪ウォッチ」にしても、ブームが起きた後に、その理由を説明することはいくらでもできる。だが、これをブームが起きる前に「社会現象になるほどの大ブームとなり、事業として大きな成果を収める」ということを、「分析」で予測することはできたであろうか。

冒頭で述べたように、「ビッグデータ」というキーワードをフックとした数多くの分析ツールが市場に出回っているなかで、「ツールとデータさえあれば成果検証できる」「ツールを活用できれば優秀なマーケターになれる」と勘違いしがちだが、森氏は「決してそうではない」と断言する。

ハードウェアやソフトウェア、ネットワークを含めたITインフラ環境の発展やインターネットの進化、スマートデバイスの爆発的な普及といった背景などにより、成果を生み出すための材料として「データ」の存在価値はこれまで以上に高まっている。そして、データを重要視するあまり、何でもかんでも"分析"によって解を得ようとする傾向も、多くのビジネスシーンにおいて見受けられる状況となってきた。

しかし森氏は、「多くのケースでは、分析のために必要とされる情報の"量"が圧倒的に不足している」と指摘する。

「分析だけなら(たとえ専用の分析ツールがなくても)明日からでも始められます。大事なのは、自社の商品が他社の商品に比べて(ユーザーにとって)どのような位置づけなのか、(商品を買おうとしているユーザーに対して)きちんと必要とされる情報を提供できているのか……といったことを把握した上で分析を始めるということです」

実際には、この「大事なこと」が不十分な状態で分析が行われているケースが多く、誤った解が導き出されていることが少なくないという。

「わからない」も重要な情報

森氏によれば、国内最大級のモール型ECサイトを運営する楽天でも、「どうしても取れないデータというものが存在する」という。

「例えば、『ソニーの製品が、今どれだけ売れているのかを示せ』と言われたら、これを正しく、迅速に行うことは難しいと思います。取扱店舗が多数あり、製品の種類も多く、型番の数が膨大で、表記方法も店舗によってまちまちな“商品群”の情報は、一種の取得が困難なデータに該当するかもしれません」

このような状況で、いかにして「わからない」情報を把握し、正しい傾向分析ができるのか……これが実現できれば、迅速に製品開発へのフィードバックが可能となり、タイムリーに「ユーザーが求める商品」を市場に投入できる可能性が高まるわけだが、実は楽天においては、「ちょっとした工夫」でこれを実現する方法を構築できているそうだ。

ヒントは、すでに言い古された感のある「ロングテール」にあるのだが、その答えは、「マイナビニュース フォーラム 2014 Winter for データ活用」(会場: 秋葉原UDX)の会場で得ていただきたい。