一方で、Oracle OpenWorldでは、様々なハードウェア製品も発表している。

オールフラッシュでペタバイト単位まで容量を拡張し、EMC XtreamIOの9倍の性能を実現する「Oracle FS1 Series Flash Storage System」や、インテル Xeonプロセッサを搭載し、ビジネスインテリジェンスアプリケーションや統合業務管理アプリケーションを高速で利用できる「Oracle Exalytics In-Memory Machine X4-4」、オラクルデータベースの保護に特化して設計したEngineered Systemである「Oracle Zero Data Loss Recovery Appliance」などを発表。さらに、8月12日のHotChipsで発表した次世代SPARCプロセッサの「M7」も紹介し、来年にも投入する計画を明らかにした。

こうした一見、オンプレミス向けに見えるハードウェア製品の発表も、オラクルが打ち出すクラウド戦略に密接に紐づいていることを暗に示している。

というのも、オラクルのクラウドサービスの基盤となるのは、オラクルが提供するハードウェアやソフトウェアであるからだ。つまり、こうした高性能で信頼性が高いハードウェア製品群を提供することが、オラクルのクラウド戦略を下支えるすることになるからだ。

エリソン会長は、「我々がクラウドで提供するプラットフォームサービスは、我々が提供しているものである。パワフルなプラットフォームを持っているからこそ、最先端のクラウドサービスを実現できる。これは他のクラウドプロバイダーにはないことである」と胸を張る。

ラリー・エリソン会長の基調講演の様子

オラクルにおけるクラウドビジネスの構成比はまだまだ低い。ソフトウェア事業のなかに占めるクラウドビジネスの売上高構成比は、最新四半期決算をみても1%以下だからだ。だが、ハードCEOは、「最新四半期のクラウドの成長は約3割。受注では5割増となっており、急速な勢いで成長している」とする。

オラクルは、今回のOracle OpenWorld において、クラウドビジネスの強化を明確に示してみせた。そして、それはオンプレミス向けに提供してきたオラクルのハードウェア、ソフトウェアの強みを生かしたことがベースになっている。それを支えるのはやはり技術である。

クラウドへの本格展開とともに、同社初のCTOとなって、Oracle OpenWorld を迎えたエリソン会長の意図は、37年前の創業時同様に、技術の強みを示すことが、クラウド市場での優位性につながると考えたからではないかと感じざるを得ない。