ネットワンシステムズは9月26日、垂直統合型アプライアンス「NetOne Integrated Sysem Appliance for VMware EVO:RAIL」を正式に発表した。同製品は、VMwareのOEM製品として提供されるもの。EVO:RAIL専用の仮想化環境設定ソフトを同梱しており、導入作業を約15分で終えられるという特長がある。

NetOne Integrated Sysem Appliance for VMware EVO:RAIL

ネットワンシステムズ 執行役員 CMOの篠浦文彦氏

VMware EVO:RAILは、今年8月に米サンフランシスコで開かれた「VMworld 2014」にて発表されたVMware製品同梱のアプライアンス。現在のところ、ワールドワイドで6社のパートナーが名を連ねており、ネットワンシステムズはその1社にあたる。

新製品について発表したネットワンシステムズ 執行役員 CMOの篠浦文彦氏は、国内における仮想化の普及率を紹介しながら、「現在、本格的な仮想化環境を導入/運用するには、専門知識と複雑なセットアップ作業が必要。社内に仮想化の専門家がいないために断念しているケースも多い」とコメント。EVO:RAILは、そうした状況を改善する製品として開発されたもので、「専門知識がなくても、ウィザードに必要項目を埋めるだけで、わずか15分でセットアップを終えられる。さらにネットワンシステムズでは、遠隔モニタリングサービスなども提供しており、運用面も支援できる」という。

国内における仮想化環境の普及率

NetOne Integrated Sysem Appliance for VMware EVO:RAILは、4ノードで構成される2Uのアプライアンス。各ノードにIntel Xeon E5-2620 v2(2.10GHz、6コア)を2つ、192GBのメモリ、10GbEのNICを2つ、14.4TBのHDDを搭載しているほか、管理用に1GbEのNICを1つ、read/writeキャッシュ用に1.6TBのSSDも組み込んでいる。1台あたり、一般的な仮想マシンで100台、仮想デスクトップで250台まで実行可能。現在のところ4台まで拡張できる。拡張作業も簡略化されており、ネットワークにつなぐだけで自動認識され、1クリックするでセットアップを終えられるという。

同梱ソフトウェアは、サーバ仮想化ソフト「VMware vSphere」、仮想化環境管理ソフト「VMware vCenter Server Appliance」、ログ管理/解析ソフト「VMware vCenter Log Insight」に加えて、ストレージ仮想化ソフト「VMware Virtual SAN」も搭載。さらに前述のEVO:RAIL専用の仮想化環境設定ソフト「EVO:RAIL Deployment Configuration and Management」も組み込まれ、セットアップ作業や運用を簡略化している。

EVO:RAILにより仮想化基盤の導入作業が大幅に減る

EVO:RAILのセットアップ画面(クリックで拡大)

また、ネットワンシステムズでは、アプライアンスの提供に加えて、仮想/物理環境の双方の稼働状況や性能を監視する遠隔モニタリングサービス、仮想デスクトップ/コラボレーションツールを活用したワークスタイル変革ソリューション、仮想アプライアンスによるセキュリティ強化/負荷分散ソリューションなども提供しており、顧客のニーズに応じてより高度なサービスを用意している。

NetOne Integrated Sysem Appliance for VMware EVO:RAILの価格は、3年保守込みで3000万円~(税込)。個別に構築する場合と比べて「ハードウェアの構成にもよるが、概ね40%程度安価に抑えられる」(篠浦氏)という。販売/出荷開始は10月1日。2014年度で30億円という売上目標を掲げている。

NetOne Integrated Sysem Appliance for VMware EVO:RAILの概要

発表会では、同製品のリリースを機に、「国内No.1 NIer(Network Integrator)から国内No.1クラウドビルダー/クラウドブローカーを目指す」という経営戦略にも言及。ネットワンシステムズがNIerとしての地位を築いた経緯を振り返り、「技術力が最大の要因であったことは間違いないが、最大のネットワークベンダーであるCisco Systemsの製品を日本法人設立以前から扱い、米国本社と協業関係を築いてきたことも大きい」としたうえで、NetOne Integrated Sysem Appliance for VMware EVO:RAILの開発においては、米VMware本社と協業し、CEOのPat Gelsinger氏とのミーティングを重ねてきたことを説明した。

「ネットワンシステムズは、VMwareの親会社にあたる米EMCから出資を受けているが、今回、VMware本社と戦略的協業関係を締結した。EVO:RAILのOEMベンダーの中で唯一インテグレータとして製品を提供することになったが、Gelsinger氏とは、VMwareが提供するハイブリッドクラウド向けIaaS『vCloud Air』の利用者増など、Win-Winになれる関係を相談してきた」(篠浦氏)

販売は直販のみならず、子会社のネットワンパートナーズやクラウドサービス事業とも協業しながら進めていく予定。販売対象としては、これまで仮想化に手が届かなかった企業のほか、既存ユーザーもターゲットに据えており、より高度な仮想化環境を提供するとともに、顧客満足度やサポートレベルの向上も図っていくという。