米VMwareは8月25日(米国時間)、カリフォルニア州サンフランシスコのMoscone Centerで開催している技術カンファレンス「VMworld 2014」 にて、「VMware EVO」を発表した。

VMware EVOは、同社がパートナーとともに提供する垂直統合型システム。VMworld 2014初日の基調講演では、同社CEOのPat Gelsinger氏が「EVO : Rails」と「EVO : Rack」の2種類の製品を紹介した。

VMworld 2014の様子

VMware EVOの概要

これらのうち、EVO : Railsは、同日付けで発表された2U4ノードのラックマウント型アプライアンス。ベンダー各社のハードウェアにVMware vSphere、VMware Virtual SAN、VMware vCenter Log InsightおよびEVO : Railsエンジンを搭載している。EVO : Railsエンジンは、専用に開発された管理ソフトウェアで、独自の管理用GUIのほか、自動コンフィギュレーション機能、ソフトウェアアップデート機能などが組み込まれている。

特徴的なのは、ベンダー間でハードウェアの仕様が共通である点。各ベンダーとも、2CPU、メモリ192GBを備えたノードを4台搭載する構成で、Virtual SAN向けのデータ容量も1台あたり最大16TBと決められている。1アプライアンスあたりのVM数は、通常のサーバで100台、VDI(Horizon View)で250台、Virtual SANで利用できる最大データ容量は13.1TBとなっている。

基調講演でGelsinger氏は、同製品に関して「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ」と表現。続けて、「箱を開けて15分でエンタープライズレベルの機能を備えた仮想化環境の稼働が可能」と導入の手軽さをアピールした。

また、拡張性にも優れており、リソースが足りなくなったら2台目のアプライアンスをつなぐだけ。自動認識してセットアップが終わるため、作業時間はわずか6分だという。リソースもリニアに拡張でき、4台のアプライアンスの場合、サーバVMで400台、VDIで1000台の仮想マシンを稼働させられ、Virtual SANのデータ容量は最大で52.4TBとなっている。

基調講演では、最初のOEMパートナーとして、富士通、ネットワンシステムズ、Dell、EMC、Inspur、Supermicroの6社を紹介。各ベンダーによって、仮想アプライアンスを追加したり、サポートを追加したりして提供される予定で、それぞれ近日中のリリース(ネットワンシステムズは9月26日に正式発表)が予定されている。

EVO : Railの概要

EVO : Railのパートナー。富士通、ネットワンシステムズも含まれている

展示ブースに設置されたベンダー各社のEVO :Rail

一方、EVO : Rackは、より大きな規模の利用シーンを想定したラックレベルの垂直統合型システム。サーバやストレージに加えて、ネットワーク機器なども搭載している。Software-Defined Data Centerを実現するソフトウェアが予め組み込まれており、データセンター規模のシステムがすぐに利用を開始できる点が特長。こちらは現在、テクノロジープレビューという段階にある。

EVO : Rackの概要

展示ブースに設置されたEVO : Rack