米IBMはこのほど、研究チームによる分析・検証を目的としたクラウドサービス「IBM Watson Discovery Advisor」を発表した。同サービスは、自然言語のニュアンスを解釈する能力をもとにしているため、化学物質の反応など、科学分野における言語の理解が可能。

同社によると、学術分野、製薬業界、産業分野の有数の研究機関の研究者や科学者が、公共データベースで提供されている何百万もの科学論文のデータを使って仮説を迅速に分析・検証するため、同サービスの活用を開始しているという。

例えば、WatsonテクノロジーをもとにしたBaylor Knowledge Integration Toolkit (KnIT)を使用する生物学者やデータ・サイエンティストらが、多くのがんに関連する重要なタンパク質であるp53を修飾するタンパク質を数週間で正確に特定した。

調査によると、年間約百万を超える論文が公開されているほか、薬物治療が初期の研究段階から診療に移行するまでに平均10年から15年かかっており、研究者が同サービスを利用すると、データに潜む新たな関連性や想定外のパターンを検出して、研究や科学分野におけるディスカバリーのプロセスを大幅に向上・加速する可能性がある。