説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『公開前の「iOS 8」を使っている人を見かけました!?』という質問に答えます。

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もし8月現在の時点でiOS 8を利用している人がいるとすれば、「iOSデベロッパプログラム」に参加している可能性が大です。AppleはWWDC 2014の開幕直後、iOSの開発途上版(デベロッパー・プレビュー)をプログラム参加者に無償提供していますから、それをiPhoneにインストールしたのでしょう。

iOSデベロッパプログラムは、年間参加費7,800円の(アプリ)開発者を対象とした支援策であり、Appleのテクニカルサポートを受けることもできます。開発者は新機能を盛り込んだアプリ、新OSに対応したアプリを迅速に提供したいと考えていますから、iOSの正式リリース前に開発情報やデベロッパー・プレビューを入手できることはとても重要な意味を持ちます。Appleとしても、iOSの不具合をひとつでも多く発見したいはずですから、いろいろな機能を試す開発者に試用してもらえれば都合がいいという考えがあることでしょう。

プログラムに参加するときには、以降そこで入手した情報を関係者以外に口外しないことなどの秘密保持契約(NDA)を結びます。「普段使いのOS」として利用するぶんには問題ありませんが、正式公開前のiOS 8デベロッパー・プレビューのスクリーンショットをブログで紹介するといった行為はNDA違反に該当し、なんらかの法的措置をとられても仕方がありません。

このように、正式公開前のiOSは本来開発者向けですが、プログラムへの参加にあたり「本当に開発するかどうか」のチェックはありません。iOS 8を公開前に入手したい、年間参加費7,800円など安いものと考える非開発者がいても不思議ではなく、実際そのようなiPhoneファンも多いのではないでしょうか。

iOSデベロッパプログラム(有償)に参加すれば、正式公開前のiOS 8を入手できますが、それだけの出費に見合うメリットは「本当の開発者」以外得られないのではないでしょうか……