デルは17日、Android 4.4搭載タブレット「Venue 8」と、Chrome OS搭載ノートPC「Chromebook 11」を発表した。本稿では、都内で開催された記者説明会における、「Chromebook 11」に関わる内容をレポートする。

Chromebook 11

Chromeのロゴが新鮮だ。しかもシールではない

デルならではの価値として、Core i3搭載モデル

記者説明会では製品の説明に先立って、デルの2014年第1四半期の業績報告から始まった。プレゼンテーションを行ったのは、同社のエンドユーザー・コンピューティング統括本部の秋島健一部長だ。

Chromebook 11を披露する秋島部長

デルは2014年第1四半期、XPサポート終了と消費税率アップ前の特需を捉え、法人向けと個人向け合わせて対前年比プラス49.5%の成長を達成した。市場全体の成長率はプラス32.8%で、それを大きく上回った。同社が好調である背景には、幅広い製品ラインナップ・価格競争力・ソリューションの提供といった強みがある。今回、発表した「Chromebook 11」と「Venue 8」は、同社のクライアント製品ラインナップをさらに広げる製品という位置づけだ。

Androidタブレット「Venue 8」のレポート記事でも触れたが、デル日本法人は、海外のDellと同時期に発売することには固執せず、日本のユーザーに「デルならではの価値」を出せるタイミングで製品を提供していくことをポリシーとしている。

今回、国内における「Chromebook 11」の展開は、法人向けと教育関連市場をターゲットとする。これらの市場では、Windowsを中心とした既存環境からの移行・統合など、デルの強みであるソフトウェアも含めたソリューションサポートが活きてくるからだ。

その一方で、個人向けの展開は「今後検討する」と述べるにとどまっている。理由は「デルならではの価値」を出せる段階ではないためだが、「Chromebook 11」は個人ユーザーでもデルの法人向け販売サイトから購入することが可能である。

デルの製品群におけるChromebook 11の位置づけ

個人向けの提供は未定といえる

すっきりしたデザインが好印象。手触りはマットな感じ

HDMIや2基のUSBを備えている

Webアプリケーションの利用を基本としている

さて、「Chomebook 11」にはクラウドを活用してGoogle Appsで安価に運用できるというメリットがあるが、それはGoogleがプラットフォームとして提供しているため、デルの製品に限った利点ではない。

そこで秋島部長が「Chromebook 11」における「デルならではの価値」として強調したのは、CPU構成と「偶発損害保証」だ。CPUの構成については、他社ではCeleron搭載モデルが多い中、Core i3を選択可能とした。Webアプリでの軽作業がメインと想定されるChromebookだが、多くの画像を扱うような局面ではCeleronでは不安というユーザーもいるだろう。

次に「偶発損害保証」だが、これは飲み物をキーボードにこぼしたり、本体を落下させてしまったりといったアクシデンタルな故障に対応するサービスだ。とりわけ教育分野において、すでに高い評価を得ているという。「Chromebook 11」では年額1,300円での提供を予定している。

「Chromebook 11」における「デルならではの価値」

製品の特徴。国内でもテレビ会議の利用が増えており、Webカメラを標準搭載した

販売開始時期は「2014年第3四半期中のどこか」とのことで、国内における価格も今回は公表されなかった。海外における参考価格として、Celeron 2955Uと2GBメモリ、16GB SSDの構成で299豪ドル、同構成からメモリを4GBとした場合で399豪ドルという例が紹介された。

なお、先行発売している国では売れ行きが非常に好調で、提供が追いつかず販売休止となるモデルが出ているという。教育分野では学校が一括して大量購入する例も多いようだ。

参考価格は豪州におけるもの。とくにCore i3モデルが好評のようだ

Microsoftの低価格戦略により今秋にも299米ドルのノートPCが出てくると予想されているが、これについて秋島部長は「家庭で一人に一台のパソコン」が進むと歓迎の意を示した。さらに、Chromebookを取り巻くビジネスでは「デバイスの低価格化よりも、IT管理者の負担軽減やクラウドを絡めたソリューションが決め手となる」として、ハードウェアの価格競争がこれ以上進んでも、顧客のチョイスに大きな影響を及ぼさないとの見解を表した。

Chromebookの仕様詳細は関連記事を参照いただきたい。