V-Sido OSの特徴を紹介するために生み出された「ASRA C1」

V-Sido OSの特徴はまだまだあり、それらを披露するため、コンセプトモデルとして開発されたのが、冒頭の画像1で、吉崎氏の横にいるヒューマノイドロボットのASRA C1だ(画像10・11)。身長約1.2m、体重約13.5kg、35自由度、4つの腕(主腕2、副椀2)を持つロボットである。動画6で腕を引かれると立ち上がる様子をお見せしたが、会場でも吉崎氏に手を引かれて登場した(動画13)。サーボは双葉電子工業製で、フレーム設計はアールティ、外装デザインはGKダイナミクスが行っている。スペックは以下の通りだ。

  • 身長/体重:約1.2m/約13.5kg
  • 動力:サーボモータ(双葉電子工業製)
  • 制御システム:V-Sido OS/V-Sido CONNECT
  • 電源:リチウムポリマーバッテリー(11.5V)、12V直流電源
  • インタフェース:Bluetooth、無線LAN
  • 使用センサ:ジャイロ/加速度/地磁気/カメラ

画像10(左):ASRA C1の全身。画像11(右):斜めから

動画
動画13。スタスタとはさすがにいかないようだが、手を引かれて歩いている様子

ASRA C1でV-Sido OSがどのようなことが行えるかというと、多数の動画が用意されている。まず、ユーザーがASRA C1の手を取って引っ張ると、その動きに合わせて立ち上がるのは動画6で見せた通り。まるで手にスイッチがあるようだが、これはリアルタイム性と効率化によるものだろう。先程I-Fairyでも紹介したが、ASRA C1もスマホからの遠隔操作(動画14)や、ジョイスティックによる上半身制御(動画15)も可能だ。そして遠隔操作でポイントになりそうなのが、ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザーの頭の動きに同調してASRA C1の頭部が動くというヘッドトラッキングの様子(動画16)。建機操作ロボットのようにロボットを遠隔操縦する場合、ユーザーは没入できるほど操作しやすいわけで、これは重要だろう。

動画14。スマホとの連携の様子

動画15。ジョイスティックによる上半身の制御

動画16。ヘッドトラッキングの様子

また柔軟制御と接触安全という面では、実際に子どもと遊ぶ様子がわかりやすい(動画15・16)。外部からの衝撃に対する強さが見てとれる。そして、不意の衝撃や振動などを吸収できるのは、先程小型のホビーロボットと同様だ。子どもにサッカーボールを当てられる様子(動画17)や、台車の上に載せて揺すっても、ヒトですら立っていられないような揺れを吸収してしまうところを見られる(動画18)。

動画15。子どもに直接押されても倒れない様子

動画16。子どもと触れあっても、ケガさせるような心配はない

動画17。大人にサッカーボールを投げ当てられようが、子どもに蹴り当てられようが余裕

動画18。台車の上で立たされて、台車を揺すられ、動かされてもこともなげに立っているASRA C1

それから、特徴の副椀。実は、この1対の副椀で、それぞれ左右の主腕を操作できるようになっているのだ(動画19)。副椀を後ろに回して操作する際は、リア・アーム・オペレーションという。また動画20のように、ヒトの声を認識して、何かの作業をさせるということも可能だ(動画ではWindowsの音声認識機能を利用)。また動画21は、「i Beacon」という機能を使って、iPhoneに着信があったことをASRA C1が検知して電話に出る様子。まだ、具体的な使い方はまだ考えついていないそうだが、ロボットが電話を取り次いでくれる時代がすぐそこまで来ているのだろうか?

動画19。副椀で主腕を操作するリア・アーム・オペレーションの様子

動画20。音声認識して作業をこなす様子

動画21。i Beaconで、iPhoneに出るASRA C1

なおASRA C1は、居住空間に安全に溶け込めることを示すことを目的として開発されたコンセプトモデルであり、アスラテック自体はソフトウェアメーカーであることから、ASRA C1の量産や受注生産といった販売計画は行わないとしている(ただし、量産や受注生産を行いたいという企業があれば、話は別になると思われる)。