ここにMicrosoftのブログ「Building Apps for Windows」に掲載されていた興味深いデータがある。Windowsストアのアプリダウンロード数における国別のシェアを円グラフ化したものだ。

右のグラフがWindows Phoneアプリの国別ダウンロード比率。米国を除けばアジア方面で強いことがわかる

Windows Phoneアプリのダウンロード比率では2位に中国、3位にインド、4位にベトナムとアジアの国々が上位にランクインしている。また、使用言語の比率をみても、非英語圏の割合が非常に高く、約75%に達している。ここでも英語に次ぐ勢力は中国語である。

こちらは使用言語の比率。Microsoftが公開した上図は、グラフの左右が誤っており、正しくは左がWindows Phone、右がWindowsとなる

※ 初出時の原稿では、Microsoftの図の通りに解釈しておりましたが、本文とも上記のように訂正いたします

そんなWindows Phoneだが、MicrosoftはWindowsストアアプリやWindows Phoneストアアプリの市場を広げるため、より簡単なアプリケーション開発環境の提供を試している。それが「Windows App Studio Beta」だ。

誰でもユニバーサルアプリを作れる時代が来る

Windows App Studio Betaは、WebベースでWindows/Windows Phoneストアアプリを開発するツールとして、Build 2014で発表された。その後、頻繁なアップデートを繰り返してきたが、6月10日にベータ版に達した。

「Windows App Studio」ベータ版。Windows 8.1およびWindows Phone上で動作するユニバーサルアプリケーションの開発も可能だ

各セクションに並べるパーツを選択し、アプリケーションの機能を構成するだけだ

本格的なゲームを開発するのは難しいものの、カタログや公式サイトの紹介といった簡単なアプリケーションならば、数ステップで完成する。ユーザーは参照するコンテンツの選択やレイアウトの変更など、基本的な部分のみを気にすればよい。用意されたテンプレートはベーシックなものばかりだが、アイデア次第でユニークなWindows/Windows Phoneストアアプリを開発できるのではないだろうか。

<Generate>ボタンをクリックすれば、Webサーバー側でコードのコンパイルなどが行われる

作成したアプリをWindows 8.1で実行した状態。実行にはルート証明書の追加と開発者ライセンスが必要だ(ともに無料)

また、Windows Phone 8.1に関しては「windowsphone.com」に日本語で新機能を紹介するページが用意されている。Microsoftの注力具合を踏まえると、同社の音声アシスタントシステム「Cortana (コルタナ)」が日本語に対応すれば、いよいよ国内展開も現実味を帯びてくる。

Microsoftの音声アシスタントシステム「Cortana」。現時点では日本語未対応

筆者は以前、携帯通信キャリアとの契約進展具合がWindows Phoneの国内展開に影響を及ぼすと考えていたが、どうやら間違っていたようだ。MVNOが普及しはじめ、総務省も「SIMロック解除に関するガイドライン」に関する意見収集や検討をはじめている。SIMロックフリー版をリリースするだけで、Windows Phoneは携帯通信キャリアに依存しないシェアを確保できるのではないだろうか。

すでに大手携帯通信キャリアがiPhoneやAndroid搭載スマートフォンを普及させた国内市場において、後発となるWindows PhoneのチャンスはSIMロックフリーのタイミングである。2015年の通常国会における法改正が検討されていることから、来年以降にはWindows Phoneを国内でも気軽に購入できるかもしれない。