説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhoneの発音がアイホンではないって本当ですか?」という質問に答えます。
本当です。TVコマーシャルを注意深く聞けば、iPhoneのことを「アイホン」ではなく「アイフォーン」と発音しているはずです。少なくとも、日本語の場合は「アイホン」と発音したり表記したりすることはせず、必ず「アイフォーン」です。雑誌など紙媒体でも、「アイフォーン」以外の表記を目にすることはないでしょう。
その理由は、Appleが日本で「アイホン」の商標を持たないためです。日本のインターホン市場でトップシェアのアイホン株式会社(英語表記はAiphone Co., Ltd.)は、社名が愛興高声電話器合資会社だった1955年、電話機/電信機について「アイホン」という商標を登録しています。
Appleが日本で「iPhone」の商標を出願したのは2008年です。商標権は類似した製品/サービス名にもおよぶため、電話機/電信機では「アイホン」はもちろん類似した「アイフォーン」でも認められないため、文房具類やデジタル画像処理という名目での登録となりました。一方、アイホン社は2008年までに携帯電話やインターネット接続機能、テレビ電話機能などの関連機能/サービスも「アイホン」で登録しています。そのままでは、Appleは日本でiPhoneを「iPhone」として発売することができなかったのです。
Appleがとった手段は、アイホン社との交渉です。AppleはiPhoneの発売に先立ち交渉を開始し、「iPhone」(アイフォーン)の商標について国内ではアイホン社がAppleに対して使用を認め、海外では両社の商標が共存することで合意したと2008年3月に発表しました。
契約内容は非公開ですが、「アイホン」は製品名であると同時に社名ですから、Appleに商標の使用を認める範囲から除外されたものと推測されます。だからiPhoneを日本語で発音/表記するときは「アイホン」ではなく、「アイフォーン」とすることが正解です。