米Appleは6月2日(現地時間)、サンフランシスコで開催中の開発者向けイベント「WWDC 2014」の基調講演において、モバイル機器向けの時期OS「iOS 8」を発表した。今回はエンドユーザー向け・開発者向けそれぞれに新たな機能が加えられたが、ここではエンドユーザー向け機能を紹介する。

「iCloudフォトライブラリ」や「iCloud Drive」といった写真や各種ファイルの連携のほか、家族向けの「ファミリー共有機能」やエンタープライズ向けのセキュリティ・管理機能強化など、多彩な利用シーンに対応する各種機能がデモを交えながら紹介された。

ティム・クック氏曰く「ジャイアントなリリース」

CEOのティム・クック氏によると、同社はこれまでに約8億台を超えるiOSデバイスを出荷しており、過去一年間に1億3,000万人が新たにiOSデバイスを購入した。また、iOS端末のうち89%にiOS 7がインストールされており、iOS 7の全体的な満足度は97%に上るという。

エンドユーザー向けの新機能は下記の通り。

通知センター

通知センターに届いたメッセージやSNSの通知に対して、アプリを切り替えず通知センター上から返信できるインタラクティブ機能を搭載。また、アプリの切り替え画面には最近連絡を取ったユーザーの一覧も表示されるようになり、そこから電話やメールなどのアクションが行える。

Safariとメール

iPad版ではタブのグリッド表示やサイドバーを搭載。今回発表された時期Mac OS X Yosemiteの連携機能に対応し、開いているタブをシームレスに共有。メールは作成中画面の一時収納や、カレンダーの予定への添付など、細かい部分の柔軟性が向上。

Spotlight

検索機能Spotlightは、従来の端末内のデータだけでなく、未インストールのアプリから、Wikipedia、ニュース、レストランや映画上映など、様々なジャンルの検索が可能になる。これはYosemiteのSpotlight機能向上と同様だ。

Quick Typeキーボード

予測タイピングの機能が向上し、メッセージの相手や使用中のアプリなどからタイピングを予測。サーバを介さずローカル上でユーザーのよく使うフレーズを自動的に学習することで、文章全体を数回のタップで書きあげることも可能。Quick Typeキーボードは日本を含む14の言語でサポートされる。

メッセージ

グループメール機能が強化。スレッドに名前を付けたり、ユーザーの追加・削除、スレッド単位での通知オフなどが可能になった。また、位置情報のシェアや、メッセージの写真だけを一覧する機能も。新たに搭載された「Tap to Talk」機能では、音声や映像をタップ~スワイプ動作だけで送信が可能だ。

音声や映像を手軽に送れるようになる「メッセージ」

iCloud Drive

あらゆるタイプのファイルに対応するクラウドストレージ「iCloud Drive」は、iOSデバイス、Mac、Windows PC、Webからアクセスが可能。異なるアプリから同一のファイルにアクセスすることも可能になる。

エンタープライズ向け機能

「Device enrollment program」により、箱から出したiPhoneやiPadを起動すると自動的にその企業向けにセットアップ。カレンダーのマネジメントやデータプロテクション、セキュリティ機能も強化される。

ヘルス

健康に関するアプリやフィットネス機器からの情報を集め、1カ所で管理できる「Heaith」機能を新たに提供。サードパーティ製アプリとも連携し、ユーザープロファイルを作成して健康のチェックや運動能力の改善に役立てることなどが可能になる。

ファミリー共有機能

iOSデバイス上で「家族」を設定すると、最大6台のデバイス間で写真・カレンダー・リマインダー等の共有、子供のデバイスの位置を探すことなどが自動でできるほか、iTunes Storeで購入したミュージックや映画、本をお互いに利用できる。また、子供のデバイスで何かを購入する際には親に許可を求めるようポップアップが表示され、親のデバイスからの承認が必要になる。

子供のコンテンツ購入にソリューションを提供

写真

「写真」アプリはiCloudフォトライブラリと連携し、どのデバイスからも全ての写真やビデオにアクセスできるようになる。露出やカラーバランスの補正などの編集機能が強化され、編集内容は全てのデバイスに即時に反映される。また、写真アプリ上でサードパーティ製アプリの編集機能が起動する連携機能も搭載。検索機能では位置や時間、似たようなシーンなどのサジェスチョンが表示される。同様の機能が今後OS Xにも搭載される予定。

デバイス間の写真共有がよりシームレスに

この他、Siriは自動車と接続することで「Hey, Siri」との呼びかけで起動することが可能になる他、Shazamによる楽曲認識にも対応。中国向けにはベクターベースのマップ機能や太陰暦対応、気象データの向上なども提供される。

また、同日に発表されたMac OS X Yosemiteと併用することで、メール作成やドキュメント編集などの作業を別のデバイスでシームレスに継続できる「Handoff」機能や、MacやiPadからの通話受発信・MMSメッセージの送受信などの連携が可能になる。

iOS 8のディベロッパー版は発表当日の6月2日より開発者向けに提供開始。一般向けには秋にリリースされる予定で、無料で利用が可能だ。また、夏には登録制の一般向けベータプログラムが提供される予定であることが発表された。対象機種は、iPhone 4s/5/5c/5s、iPod touch(第5世代)、iPad 2/Retinaディスプレイモデル/Air/mini/mini Retinaディスプレイモデル。