NTTドコモは6月1日より、国内の音声通話を定額にする「カケホーダイ」と、家族間でパケット通信のデータ量をシェアできる「パケあえる」を導入した新料金プランを提供する予定だ。従来とは全く異なる料金プランとなるが、果たしてどんなユーザーにとって現行プランよりお得になり、どんなユーザーにとって損になるのか? 本稿では、新料金プランで注意すべき点について見ていきたい。

単身者は現行プランと比べて割高に?

まず、パケット定額サービスを家族でシェアせずに、個人で契約する単身者ユーザーの料金について考えてみよう。新料金プランでは、単身者向けのパケット定額サービスは、「データSパック」(月間2GB、月額3,500円)と、「データMパック」(月間5GB、月額5,000円)の2種類。

これらのパケット定額料金に、基本プランのカケホーダイ(月額2,700円)、インターネット接続料の「spモード」(月額300円)を加えた合計が、新料金プランでの毎月の利用料金となる。すなわち、データSパックの場合は毎月6,500円、データMパックの場合は毎月8,000円かかることになる。

一方、現行プランでは基本プランの「タイプXiにねん」(月額743円)、spモード、「Xiパケ・ホーダイライト」(月間3GB、月額4,700円)の合計で、毎月の利用料金は5,743円。「Xiパケ・ホーダイ フラット」(月間7GB、月額5,700円)を契約している場合、毎月の利用料金は6,743円となっている。

現行プランと新料金プランを比較すると、それぞれ安いほうのパケット定額サービスを選択した場合でも、新料金プランのほうが757円割高だ。しかも、速度制限が行われる月間通信量は3GBから2GBに減っている。

音声通話が定額になるという側面はあるものの、通話する頻度があまり高くないユーザーにとっては、新料金プランはそれほど魅力的とは言えないかもしれない。なお、現行プランの新規受付は、2014年8月末で終了する予定となっており、9月以降に新規契約する場合は、新料金プランしか選択できないので注意が必要だ。

家族で「パケあえる」は実は割高!?

次に、家族でパケット定額サービスをシェアする場合の料金について見てみよう。家族向けのパケット定額サービスは、月間10・15・20・30GBまで使える各「シェアパック」が用意されている。シェアパックの料金は代表回線にしか課金されないが、シェアパックのデータ量を家族で分け合う際は、子回線ごとに「シェアオプション料」(月額500円)が必要だ。

ここでは、家族3人で利用する場合の新料金プランと現行プランを比較してみよう。新料金プランでは、カケホーダイ、spモードの合計3,000円を3人分、「シェアパック10」(月間10GB、月額9,500円)とシェアオプション料が2回線分の合計で月額19,500円かかることになる。一方、現行プランでは、タイプXiにねん、spモード、Xiパケ・ホーダイライトの合計5,743円の3人分で月額17,229円。つまり、新料金プランのほうが2,271円割高という計算だ。

家族3人で利用する場合の新料金プランと現行プランの比較  (拡大画像はこちら)

同様に、家族5人で新料金プランの「シェアパック15」(月間15GB、月額12,500円)を利用すると、月額29,500円。現行プランでは、先ほどの1人当たりの合計5,743円を5倍して、月額28,715円になる。こちらも新料金プランのほうが785円割高だ。

また、家族10人で新料金プランの「シェアパック30」(月間30GB、月額22,500円)を利用すると、合計で月額57,000円となり、現行プランでは月額57,430円。こちらは新料金プランのほうが430円割安だ。すなわち、シェアパックを家族で分け合うメリットは、10人でシェアすることでようやく出てくるということになる。

単身者の場合と同じく、新料金プランでは音声通話が定額にはなるが、通話する機会が少なかったり、LINEなどの無料通話を活用しているユーザーであれば、家族でパケット定額サービスをシェアするとしても、お得にならないケースが多いようだ。

料金以外の「シェアパック」の注意点は?

なお、シェアパックでは、気を付けたい点がいくつかある。まず、シェアパックの料金は家族の代表回線にのみ課金され、子回線には課金されない。代表回線である親が、子どもの分もまとめて支払うケースであれば、とくに問題はないだろうが、たとえば離れて暮らす家族の場合、負担が偏るため利用しづらいことが考えられる。

また、家族の誰かが大量のデータ通信を行うと、他の家族が利用できるデータ量が減ってしまったり、家族全員が速度制限の対象となってしまうことにも注意が必要だ。また、もしデータを使い切ってしまったら、データ量の追加購入も可能だが、購入は代表回線でしか行えないといった使い勝手の悪さもある。

新料金プランを検討する際は、家族でデータ量をシェアできるというメリットだけでなく、これらのデメリットもふまえて吟味するとよいだろう。

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NTTドコモから発表された新料金プランの注意点について見てきた。新料金プランでは、音声通話が定額になり、家族間でデータの量をシェアできるのが特徴だが、通話をあまりしない場合や家族の人数によっては、現行プランよりも割高になる可能性もあるので、よく注意しながら検討したほうがよさそうだ。