4K液晶の精細さは息を飲むほど

それではT954/89Lの最大の売りである4K解像度のIGZO液晶をチェックしてみたい。15.6型というサイズにフルHD×4画面分の画素を凝縮しているため、ドットピッチは282dpiに到達している。これはiPad Airの264dpiより高いスペックだ。文字を表示させてもジャギーは視認できない。米テクニカラー社の標準色に合わせ、一台一台キャリブレーションを施して出荷されるため、自然で鮮やかな発色が楽しめる。

この液晶のすごさは、ぜひとも写真編集で堪能していただきたい。T954/89Lには標準で「Adobe Photoshop Lightroom 5」が標準でバンドルされているため、すぐに本格的な編集環境を立ち上げられる。前述の通り色校正済みなので、発色面も安心だ。

4K画像を表示させた際の美しさは圧倒的。この液晶に見合った壁紙を使いたい

この写真では青がやや強めだが、グラデーションも破綻なく表示されている

カラーマネジメント用アプリ「Chroma Tune for TOSHIBA」を標準搭載

dynabook KIRAと同様に「画面設定ユーティリティ」でGUIスケーリングの変更が可能

GUIスケーリング標準(左)とドット等倍表示時(右)で「ごみ箱」を比較。等倍表示では細かすぎて、単純な操作すら難しい

これはフルHD解像度(1,920×1,080ドット)の15.6型液晶を搭載したdynabook T654の表示。ドットの境界線がよく見える

Lightroom 5ではGUIのスケーリングが有効に働くため、問題なく作業できる

Lightroom 5で補正前後を比較しながら作業しても十分なディテール感と作業面積を維持できる

ちなみに、Photoshop CSはGUIスケーリングに完全対応していないため、アイコンや文字が小さくなりすぎてしまう。Adobeによる今後の対応に期待だ

T954/89Lの液晶の発色をエックスライト社のキャリブレータ「i1 Display Pro」で計測したところ、色域はsRGB相当だった。Adobe RGB 100%に近い色域を求めるプロ向けには及ばないが、ガンマカーブは素直にほぼ直線を描いている。もっとも、T954/90Lの4K液晶のすごさは画素数や色域のスペックではなく、コンテンツ表示の美しさにあるのだ。この点については後述する。

i1 Display Proによるガンマ測定結果。RGBそれぞれがほぼ直線を描いており、非常に素直な特性

色補正したiccプロファイルを元に作成した色域。発色できる色はsRGB相当といえる

今回のレビューで評価したのは試作機だったが、IGZOといえど液晶素子の配向がIPSではないようで、視野角に対する輝度の変化がやや大きく感じられた。液晶を立てる角度によって画面上下の輝度が変わってくるので、写真編集などをする際は正しい姿勢を意識して作業したい。

視野角による輝度変化はあるが、決して悪い液晶ではない。全体の色調やコントラスト感は維持されている