FPD(フラットパネルディスプレイ)業界の最新技術が一堂に会する展示会「ファインテック ジャパン」が4月16日、東京ビッグサイトにて開催された(会期は4月18日まで)。業界関係者に向けた商談の場としての性格が濃いイベントではあるが、会場は熱気に包まれ、そこかしこのブースで大いに賑わいをみせていた。そんな「ファインテック ジャパン」に出展されていたプロダクトから、筆者が"これは!"と印象付けられたものをピックアップして紹介していこう。
視線入力という新たなUI/UXの提案
ひときわ衆目を集めていたのが、トビー・テクノロジーのブースだ。展示プロダクトは「次世代ナチュラルUI 視線入力」を可能にする世界最小のアイトラッキングシステム「Tobii X2」。視線のみで単純なゲームをプレイするなど、実際に視線入力を体験することができたほか、ユーザビリティ調査やマーケティングリサーチの分野で次世代モバイル・アイトラッカー「Tobiiグラス」などもディスプレイされていた。
また、視線入力を用いたソフトウェアやアプリケーションの開発キット「Tobii EyeX Dev Kit」も展示。トビー・テクノロジーのWebサイトから「Tobii EyeX Dev Kit」をプレオーダーすることも可能とのこと。「我こそは!」と腕に自信のある方は、視線入力を用いて新たなUXを体験できるソフトウェアの制作にチャレンジしてみても面白いのではないだろうか。
もはや10点マルチタッチは当たり前。時代は"その次"を模索
ディスプレイの展示で多く見られたのが、10点マルチタッチに対応したアイテムだ。中でも興味を惹かれたのが、湾曲面はもちろん、折りたたむことも可能なタッチデバイスを展示していたジェイタッチ・ジャパンのブース。ディスプレイとしての展示ではなかったものの、円柱に巻き付けたり、波を描く曲面上に貼り付けられたポインティングデバイスなど、ウェアラブルデバイスでの活用を大いに期待させてくれた。
拡大してよく観察すると、細かな銅線の網目で形作られていることが分かる。銅線によるメタルメッシュにより、省電力化などにも寄与しているそう |
フィルムが透明で見えにくいかもしれないが、ごらんのように折り畳むというユースケースにも対応。気になる耐久性だが、フィルム内部のメタルメッシュよりも、コーティングしたフィルムが先に根を上げてしまうのだとか |
また、テーブル型のタッチ対応ディスプレイも複数出展されていた。タッチパネル研究所の「フルフラットタッチテーブル」は、10点マルチタッチへの対応だけでなく、リビングになじむ家具としてのデザイン性を兼ね備えている。ローテーブルやハイテーブルなどのバリエーションも用意していた。話を聞いたところ、開発当初は企業向けに考案していたそうだが、思いのほか一般の方からの引き合いが多いとのこと。
ディスプレイの命は高精細な色彩再現能力!
東芝より発表された世界初の4K解像度対応ノートPC「dynabook T954」を筆頭に、4Kディスプレイも展示されていたが、注目を集めていたのはシリコンサイン・ジャパンが展示していたLEDディスプレイパネルだ。「SiMagnolia」は1.5mmピッチの高精細LEDパネルを採用し、4K画面を260インチという広大なスクリーンとして映し出せるとのこと。実際に映し出された映像は、「これがLEDパネルなの!?」と素直に驚嘆させられるクオリティ。思わず「我が家のリビング壁面に導入して映画を楽しみたい!」と夢見て担当者に聞いたところ、いま現在は一般向けの販売はなく、あくまでも業務用なのだそうだ。
4Kやマルチタッチは、すでに我々の生活に浸透しつつある。こうした技術もさることながら、"その先"を見据えたポインティングデバイス、視線入力といった先進的なプロダクトや技術が見られた今回の「ファインテック ジャパン」。次回以降、どれだけワクワクさせてくれるプロダクトが出展されるか、今から楽しみだ。