ネクスト21、東京大学、理化学研究所などで構成される研究チームは4月7日、3Dプリンタで成形するカスタムメイド人工骨を開発し、臨床試験の結果、ヒトでの有効性と安全性を確認したことから、医薬品医療機器総合機構(PMDA)への薬事承認(製造販売承認)申請を完了したと発表した。

外傷などによる骨欠損などの治療としては、日本では自家骨移植が第一選択肢となり、外科的に患者の骨の一部を摘出し、それを移植部の形状に成形するといった作業が行われていた。また、熱処理により焼結した人工骨を成形して用いるという手法もあるが、癒合が難しいといった課題がある。

今回研究チームが開発したカスタムメイド人工骨は、3Dプリンタで成形することで、骨内部の構造の設計や0.1mm単位での形状再現が可能なほか、熱処理が不要なため生理的な活性を持たせられることから自骨への癒合が早く、時間の経過とともに自骨へ変化(骨置換)するといった特徴もある。

審査にかかる期間は約10カ月程度とのことで、研究チームでは、薬事承認(製造承認)の取得後、ネクスト21が2015年に実用化する予定としており、日本市場のみならずアジア市場への輸出も進めていくとするほか、オランダやカナダの企業とのライセンス契約に向けた交渉も進めているとしている。

カスタムメイド人工骨による骨欠損の治療

人工骨成形3Dプリンタと製造設備