そう考えると、2013年9月に発表されたNokia買収も説明がつく。2013年のOS別スマートフォンシェア(Strategy Analytics調べ)におけるMicrosoftが占める割合はわずか3.6%、Nokiaの買収によりMicrosoftは携帯電話/スマートフォンの設計チームと生産設備、マーケティング部門や販売網を掌中に収めたわけだが、先行するiOSとAndroidはOSを実質無償提供している。その半ば寡占化された市場へ割って入るには、OSの無償化ですら十分とはいえないが、Nokiaのリソースを生かせばスタートラインに立つことはできる。それだけのシェアだから売上高の減少幅も知れている、という割り切りがあったのかもしれない。

画面が9インチ未満のスマートフォン/タブレット向けのWindows OSが無償化される

一方、デスクトップOSにおけるMicrosoftのシェアは変わらず高く、Windows全バージョンを合計すると9割にも達する。Microsoftの売上はコマーシャル部門(企業向けのサーバやクラウドサービス)とデバイス&コンシューマ部門(一般消費者向けWindowsおよびOffice、Xboxや各種オンラインサービス)が二本柱だが、コマーシャル部門の好調はWindowsの圧倒的シェアに支えられているところが大きい。未開拓の分野を攻めつつ、デバイスとサービスから成るビジネス体系に移行するまでWindowsのライセンスビジネスを守ることが、暗に求められているだろうことは想像に難くない。

注目の「Universal Windows Apps」

Office for iPad発表の席でナデラ新CEOが言及した言葉に「A Cloud for Everyone on every device」がある。邦訳すれば「クラウドをあらゆるデバイスですべての人に」となるが、そこには新体制Microsoftの目指す方向性が込められている。そしてその方向性は、Windowsの一部無償化とあわせて発表された「Universal Windows Apps」と密接な関係がある。