今回注目すべきは、jQueryを駆使したスライドショーが作成できる「SHiFT」機能が進化したことだ。jQueryとは、アニメーションやモーションなどWebに動的な表現を付け加えることができるJavaScriptライブラリで、複雑なCSSを使用しなくてもダイナミックなWebページがプラグインで簡単に実装できる。

SHiFTは以前から搭載されていた機能だが、最新版では、さらに表現力が豊かな機能となった「SHiFT2」として登場。言葉では説明しにくいのだが、3D効果の高いスライドショーや、大量の画像をサムネイルで表示して動的に見せる視覚効果の高い表現が可能になった。また、画像の表示スピードを任意で1000ミリ秒単位で設定ができるようになり、コンテンツに合わせて最適化したスライドショーやプレゼンテーションソフト的な表現をWebの中に埋め込んで行えるようになる。

「SHiFT2」によるテンプレート選択画面。スライドショーのテンプレートを選択後、画像の表示スピードは任意で設定可能に。一番下の「画像を切り替える間隔」(写真右)で秒数を入力する

"パララックス・ジオメトリ"を選んだ場合。画像下に配置されたサムネイルをクリックするとメインの画像スペースにその画像が拡大表示される。背景は視差効果を使った奥行きを感じる効果になっている

また、メニューバーの各メニューをマウスオーバーすると、サブメニューがプルダウンして展開する機能も可能になっている。つまり、限られたスペースにおいて、ガイドメニューを立体的かつインタラクティブに表示できるのだ。膨大なコンテンツを有するホームページでは、ナビゲーションや誘導をどのように行うかが課題のひとつであるが、この機能を取り入れることにより、ユーザーナビゲーションにおいて画期的にユーザビリティが向上するであろう。ゲームの世界では当たり前のユーザーインタフェースでありながら、Webの世界では難しかった技術が素人でも簡単に扱えるようになる待望の新機能だ。

マウスオーバーによるナビゲーションメニューのテンプレート選択画面

テンプレート選択後は、設定メニューが開き、テキストやリンク先、アクションなどをガイダンスに合わせて設定していく

効果適用後の表示をブラウザーで確認した画面。左上にあるメニューがマウスを重ねるとサブメニューを開いて表示する。限られたウェブ画面のスペースをインタラクティブな動きによってスッキリと有効に活用できる機能が簡単に

Eコマースサイトを開設・運営するユーザーにとって目玉となる新機能は、在庫管理や決済機能、納品書作成などEコマースに不可欠な業務を行えるショッピングカート機能「BiNDカート」の標準提供だ。これまで「WebLiFE* サーバー・プレミアムコース」の会員に限定して提供してきた機能だが、今回からは公開サーバーの種類に関係なく、同等の機能が無料で利用できるようになった。ただし、無償利用の範囲は登録アイテム数5点までに限られ、それ以上~1,000点までは、月額2,980円のプレミアムコースへの加入が必要になる。実質的な商用利用には有料会員が必須になりそうだが、気軽にEコマースを始めたい企業や個人にはうれしい間口の拡大と言えそうだ。

BiNDカートの管理画面。今月の売り上げのほか、過去30日間の売上推移なども一目で確認できる

カートボタンも、付属の画像編集ソフト「SiGN」で自由に編集することが可能だ

スマホ版も備え、商品ページのほか決済画面にも対応する

このほかにも、CSSの詳細設定に各種項目の説明書きが加わったり、コンテンツの表示幅がブロック単位で設定できるようになったりと、ユーザビリティが向上する改善がところどころで地味に図られていることに気がつく。

CSSの詳細設定画面。タグの意味も併記されるようになり、初心者にもより易しく

デザインテンプレートも新たに39点追加になり、どれもトレンド要素を取り入れたものだ。日進月歩なWebのトレンドや技術を追い続けるのは、プロのWeb制作者であってももはや至難の技。初心者はもちろんだが、プロのクリエイターも、本ソフトのようなツールを有効活用して、本来のクリエイティブ・スキルの向上に専念するのもひとつの在り方かもしれないと、今回もいい意味で諦めさせてくれる最新版となっている。