ワコムは、デジタル機器でユーザーが作成した手書きデータをOSやアプリの境界を越えて自在に活用する仕組みとして「WILL(Wacom Ink Layer Language)」を開発し、スペインで開催されたモバイル関連の国際展示会「Mobile World Congress」にて発表した。
今回発表された「WILL」は、デジタル・インク(手書きのインクデータのこと)をOSやソフト、ハードなどの制約を超えて、クラウドサービス上で扱えるようにするための普遍的かつオープンなフレームワーク。同社はこの仕組みを、デジタル・インクにおける新たな業界標準とすべく、ハードウェアやソフトウェアの各メーカー、サービス事業者、さらにはシステムプロバイダーなどに幅広く採用を提案していくといい、あわせて各社商品にWILLを組み込むためのSDKも提供開始する。これにより、デジタル・インクの互換性を気にすることなく、アイデアを作成・共有・編集できる環境が実現可能になるという。
なお、このWILLでは、手書きストローク(筆跡データ)をストリーミング送信することも可能なため、ノートテーキングやグループでの共同作業はもちろん、世界中に散らばったメンバー間でリアルタイムにファイルを共有・編集しながらブレインストーミングを行うことなども可能という。また、WILLに「メタデータ」を組み合わることもできるため、筆跡データを活用したセキュリティー管理や注文書のサインなどといった業務用途、地図や写真データと連動した旅行日記の作成など、使用用途は無限の広がりが期待される。
まずは同社が提供するハードやソフトの各商品にWILLが組み込まれる予定で、例えば手描きメモソフトの「Bamboo Paper」では、友人が作成した手書きスケッチを上書き編集し、送り返すことも簡単にできるようになるとのこと。詳細は特設ページにて。