バッファローは2月21日、新たに立ち上げえた「DELA」ブランドより、オーディオ専用のNASである「HA-N1ZS10」「HA-N1AH20」を発表した。オーディオ専用のNASが普通のNASとどう違うのか、興味深いところだ。ここでは、発表に先立ってプレス向けに行われた商品説明会の内容から、これらがどのような製品なのかを紹介したい。
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新ブランド「DELA」の由来は名古屋弁の"でら"ではない
説明会ではまず、今回のプロジェクト立ち上げの中心的なメンバーである、バッファロー BBS事業課 オーディオ係 シニアプロダクトプロデューサーの荒木甲和氏が、新ブランドのコンセプトと製品の説明を行った。
荒木氏によると「DELA」ブランドのコンセプトは、「信号の品質へのこだわり」「オーディオルームにふさわしい概観と品質」「オーディオ機器としての使い勝手」の3点。また、ブランド名の「DELA」は、「Au-dela de l' audio numerique(デジタルオーディオの未来)」に由来するとのことで、決して名古屋弁の"でら"ではないとのことだ。
オーディオソースの光学メディアからダウンロード販売へのシフトが進んできており、ファイルからの再生が、PCユーザーではなかったオーディオファンの間でも一般的なものになりつつある。
しかし、これまでオーディオ専用のNASというものは存在しなかった。このため、量販店のオーディオフロアでオーディオ機器を買い揃えた場合、それに接続するNASは別のフロアに置かれており、PCユーザーではないオーディオファン自らが製品をチョイスする必要がある。2013年に発売された「LS421D」シリーズは、オーディオ専用のNASということで、オーディオフロアに置かれる製品となり、こういった不満は解消された。「DELA」ブランドのNASではこの流れをさらに押し進め、オーディオファンの要望を基に作りこまれたものとのことだ。
PC向けではなくオーディオ機器としてのNAS
N1AとN1Zで、従来のNASと大きく異なるのが運用面だ。従来のNASは、常に通電して使用するのが一般的で、起動や電源オフに時間が掛かるのが普通だった。音楽を聴きたいときに電源を入れるオーディオ機器とは操作性が異なる。N1AとN1Zでは、内蔵しているストレージに専用にコントローラーをチューンすることで、起動と終了に掛かる時間を短縮。N1Zは約18秒で起動し、終了にも約5秒しか必要なくなった。さらに、アンプの電源連動型ACアウトレットに接続しての運用も可能となっている。
また、フロントパネルには大型の液晶パネルを配置。ここには、LANポートの状況やIPアドレス、楽曲・アルバム情報などが表示される。プレイリストの作成もNAS側で可能で、、PCレスで運用することができる。ルーターを介さず、プレーヤーとクロスのLANケーブルでダイレクトに接続することも可能となった。
N1AとN1Zはこのように、音楽を聴く部屋とは別の場所に設置して使用する機器ではなく、リスニングルームでプレーヤーのそばに設置することが想定されている。そのため、N1Aの筐体は、オーディオ機器として標準的な430mm幅を採用。N1Zの筐体は350mm幅で、標準的なミニコンポの筐体サイズに近い。デザイン面も、他のオーディオ機器と並べて設置しても不自然にならないものとなっている。
デジタル機器をリスニングルームに設置する際に気になるのが、機器が発生する雑音だが、N1AとN1Zでは、制振性能を高めることでこの問題に対処している。筐体には、N1Aでは1.6mm厚のスチール素材が、N1Zではトップとサイドに5mm厚、フロントに7mm厚のアルミ板が使用されている。N1Zの内部はH型クロスフレームを配置した左右対称設計だ。
開発プロジェクトリーダーの山田祐輝氏によると、N1Aに内蔵されているHDDは東芝製だが、これも、幾種類ものHDDの動作音を聞き比べて、リスニングに影響の少ない音のものをチョイスしているという。大電流を必要とし、消費電力の振れ幅が大きいストレージ部分と、消費電力が少ないLANポート部分とで電源を分離することで、安定的な動作を確保しているとのことだ。
また、共振を抑えるために各パネルを0.3mmずつ離すセパレート構造を採用。組み立ては水平を出した石板製の定盤の上で行われ、同社で設定した基準をクリアした工員のみが、この工程を行っている。
NASである必然性ははたして?
リスニングルームで他のオーディオ機器のそばに設置し、プレーヤーとダイレクトに接続するのならば、NASである必然性は?という疑問が当然わいてくる。USB接続タイプのストレージではだめなのだろうか。
同社によると、オーディオグレードのUSBストレージがあってもよいかとは思うが、DMCを利用できるという利便性もあり、オーディオ分野では現時点でNASという形態のほうが受け入れられているとのことだ。