米Googleは20日(現地時間)、「Project Tango」を公開した。現実世界の空間や動きを取り込むモバイルデバイスを開発する。Androidベースの初期的なプロトタイプ端末がすでに完成しており、空間を利用したアプリやゲーム、アルゴリズムの開発に興味のある開発者にプロジェクトへの参加を呼びかけている。

Project Tangoはモバイル分野における先進的なテクノロジの開発とビジョンの実現を進めるAdvanced Technology and Projects (ATAP)グループのプロジェクトだ。以前はMotorola Mobilityに属しており、モジュール式の組み立てスマートフォン構想「Project Ara」もATAPのプロジェクトと言われている。

モバイルデバイスを使って現実環境を拡張するテクノロジというとAR(拡張現実)がよく知られるが、モバイルデバイスに映し出される現実世界はスクリーンで切り取った風景でしかない。Project Tangoは実際の空間と動きをモバイルデバイスに構築し、現実環境と仮想環境の境界線を無くそうとしている。

プロトタイプ端末は、デバイスの3Dモーションをトラッキングしながら、同時に環境をマッピングするようにハードウエアおよびソフトウエアがカスタマイズされている。5インチ・ディスプレイ、4メガピクセル・カメラ、モーショントラッキングカメラ、3D深度センサ、2つのビジョンプロセッサなどを搭載。内蔵するセンサー群からのデータで毎秒25万回以上もの3D測定を行い、位置や向きなどをリアルタイムでアップデートし、ユーザーを囲む空間の3Dモデルを構築する。

Project Tangoのサイトでは可能性として、建物内で目が不自由な人を案内するナビゲーション、ストア内の陳列場所まで分かる製品検索、自宅の間取りや広さのキャプチャ、自宅を戦場にバーチャルな軍隊を使ったミリタリーゲームなどを挙げている。

プロトタイプには、Java、C/C++、Unity Game Engineなどで作成するAndroidアプリに空間や向き、動きのデータを提供するためのAPIも含まれる。Googleによると、現在200セットのプロトタイプキットが完成しており、すでに提供先が決まっているものを除いた残りを3月14日までに配布する。ナビゲーションやマッピング、現実環境を使ったゲーム、新しいアルゴリズムの開発にProject Tangoを使ってみたい人は、同プロジェクトのWebサイトで参加申し込みを受け付けている。