携帯各社から販売されるスマートフォンの利用料金が高止まりとなる中、注目を集めているのが格安SIMカードだ。その中でもNTTコミュニケーションズが提供するモバイルデータ通信サービス「OCN モバイル ONE」。同サービスは2013年12月より、コンビニで購入できるプリペイドSIMカードを提供開始。あわせて、同サービスのテレビCMも放映している。

さて、注目サービスとはいえ、読者の中にはこれらのSIMカード単体販売について、「SIMカードとは何か?」「どうやって使うものなのか?」と疑問に思っている人も多いと思う。そこで本稿では、「OCN モバイル ONE」のプリペイドSIMカードの概要を解説するとともに、実際に使ってみた感想などを紹介していきたい。

「OCN モバイル ONE」のプリペイドSIMカードの初回パッケージ

「OCN モバイル ONE」のプリペイドSIMとは?

「OCN モバイル ONE」は、NTTドコモのLTE通信サービス「Xi」および3Gの「FOMA」エリアに対応したモバイルデータ通信サービス。下り最大150Mbpsの通信速度でインターネットを利用できるSIMカードを提供するサービスとなっており、これまで通信容量や速度などが異なる複数のコースが提供されてきたが、今回新たにラインナップに加わったのが、コンビニで購入できるプリペイドSIMカードだ。

プリペイドSIMカードは全国のローソンで購入でき、「初回パッケージ」と「延長パッケージ」の2種類が用意されている。初回パッケージの価格は3,980円で、利用期間は30日間。購入後にWebサイトから申し込みを行うことで、SIMカードが届けられ、利用することが可能。延長パッケージを購入すると、利用期間の50日間の延長が可能となっており、価格は2,980円。延長パッケージを購入することで、利用期間を何度でも延長でき、初回パッケージで提供されるSIMカードを使い続けられる。

なお、「OCN モバイル ONE」では、現在キャッシュバックキャンペーンを実施しており、2月28日までのキャンペーン期間中に開通手続きを行うことで、プリペイドSIMカードの初回パッケージであれば、2,000円のキャッシュバックを受けられ、実質1,980円で利用を開始することが可能だ。

また、オンラインで購入できる「OCN モバイル ONE」のパッケージの場合、3,000円のキャッシュバックを受けられるほか、「その場で最大60%OFFキャンペーン」が2月28日まで実施されているAmazon.co.jpで購入することで、より一層お得に利用を開始できる。

「OCN モバイル ONE」の通信速度は下り最大150Mbps/上り最大50Mbps。1日の通信容量が30MBまでとなっており、容量を超過した場合には、通信速度が上り/下り最大200kbpsに制限される。なお、日付が変わると速度制限が解除され、再び1日30MBの通信量容量を使うことができる。

従来の「OCN モバイル ONE」のSIMカードでは、利用料金の支払い方法はクレジットカード払いのみとなっていたが、プリペイドSIMカードは、コンビニで手軽にパッケージを購入し、期間を延長して利用できるのが特長だ。また、キャリアと契約するよりも低料金で通信でき、契約期間の縛りもないため中途解約手数料などがかからないのも魅力だ。

プリペイドSIMカードは、標準SIM、micro SIM、nano SIMの3種類のサイズが用意されているので、自身の端末に合ったサイズのSIMカードを選ぼう。SIMフリーのiPhone/Androidスマートフォン、タブレットのほか、ドコモから販売されたスマートフォン、タブレットなどで利用可能だ。

プリペイドSIMを購入して、端末に装着してみた

「OCN モバイル ONE」のプリペイドSIMカードを実際に使ってみたので、購入から申し込み、端末の設定などの一連の流れを解説していこう。まず、ローソンで「OCN モバイル ONE」の初回パッケージを購入したら、同サービスのWebページにアクセスして、申し込みを行う必要がある。

「OCN モバイル ONE」のWebページから申し込みを行う

カード裏面に記載されているPIN番号と商品コードを入力し、次へ進む

初回パッケージの台紙からカードをはがし、カード裏面に記載されているPIN番号と商品コードを入力することで申し込みを開始することが可能。氏名や電話番号、住所などを入力し、さらに希望するSIMカードの種類を選択して申し込みを完了しよう。なお、SIMカードは申し込みから約1週間で登録した住所に届けられる。

氏名や電話番号、住所などを入力していく

端末に合わせてSIMカードの種類を選択し、確認画面に進んで申し込みを完了できる

SIMカードが届いたら端末に装着し、利用設定を行おう。手順は端末ごとにも異なるが、今回はドコモの2013年春モデルとして発売された「Xperia Z SO-02E」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)を例として紹介する。

「Xperia Z SO-02E」でプリペイドSIMカードを使用してみた

SIMカードスロットからmicro SIMカードを挿入する

SIMカードの装着後、そのままではデータ通信を利用できないため、まずは端末の設定画面でAPN(アクセスポイント名)を設定する必要がある。なお、Xperia Zなどの端末の場合、SIMカードスロットからSIMカードを挿入すると、端末が自動で再起動する。もしも端末が自動で再起動せず、SIMカードが認識されないときは、手動で再起動するとよいだろう。

APNの設定手順は、次の通りだ。もっとも注意したいのは、アクセスポイントの編集画面における文字入力だ。SIMカードとは別に郵送されてくる「OCN会員登録証」を確認し、記載されている認証ID(ユーザー名)、パスワード、APNを正確に入力しよう。

Androidの設定画面において、[無線とネットワーク]の[その他の設定]を選択

次に表示される画面で[モバイルネットワーク]を選択しよう

[アクセスポイント名]を選択し、アクセスポイントの一覧画面を開く

右上のメニューから[新しいAPN]を選択し、アクセスポイントの編集画面を表示する

「OCN会員登録証」に記載されている認証ID(ユーザー名)、パスワード、APNを入力しよう

右下のメニューから[保存]を選択する

作成したアクセスポイントが一覧画面に表示されるので、ラジオボタンをタップして選択しよう。選択後、ステータスバーのアンテナ部分に「H」や「LTE」などのマークが表示されれば接続成功で、データ通信を利用可能だ。もしも、これらが表示されない場合は、ユーザー名やパスワード、APNなどを誤入力している可能性が高いので、アクセスポイントの編集画面を再度確認してみるとよい。

追加したアクセスポイントを選択し、「H」や「LTE」などが表示されれば接続成功だ

プリペイドSIMで「パズドラ」をプレイしてみた

先述の通り、「OCN モバイル ONE」のプリペイドSIMは、下り最大150Mbps/上り最大50Mbpsの通信を利用できるため、電波の良い環境であれば、快適な通信速度でWebサイトや地図アプリなどの閲覧をすることが可能だ。ただし、1日の通信容量が30MBまでで、超過した場合は、通信速度が最大200kbpsに制限されるため、どのくらい使えば30MBに到達するのかが気になるところだ。

通信速度を計測してみたところ、下り速度が約24Mbps。なお、速度計測は通信量をかなり消費するので要注意だ

そこで、人気ゲームアプリの「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)をプレイし、通信量や操作感の検証を行った。なお、通信量の目安の確認には、通信量を監視するウィジェット「3G Watchdog」を使用している。

結果としては、通信速度が制限されていない状態では、パズドラを問題なくプレイすることができ、ダンジョンで冒険を開始する際などの読み込みも軽快だった。30分連続でプレイした後で、通信量を確認すると、約11MBの通信量を消費していた。そのため、概算するとパズドラを約1時間半連続でプレイした場合に、通信量が30MBに到達する計算となる。プレイの仕方などによっても通信量は変動するため、あくまで参考値だが、パズドラのような通信を行うゲームアプリであっても1時間以上プレイすることが可能だ。公衆無線LANサービスや自宅のWi-Fiなどをうまく併用することで、どこでも快適にゲームを楽しめそうだ。

「パズドラ」をプレイして、消費される通信量を確認してみた

30分連続でプレイすると、約11MBの通信量を消費していた

ちなみに1日の通信量が30MBを超過し、通信速度が制限されている状態でもパズドラをプレイしてみたが、読み込みに若干時間がかかるものの、とくに問題なくプレイすることができた。また、最大200kbpsの速度制限下では、YouTube動画の視聴や地図アプリの閲覧などは多少しづらい状態もあったが、パズドラのほかにも、TwitterなどのSNSアプリや、LINEのテキストチャットなどは、問題なく利用することが可能だった。

通信速度を計測し、速度制限が行われていることを確認

速度が制限されている状態でも、とくに問題なくパズドラをプレイできた

なお、プリペイドSIMを普段利用していく際に、通信量を節約するためには、GmailやGoogleカレンダーをはじめとするGoogleサービスなどの自動同期をオフしておくのがよいだろう。また、Google Playでのアプリの自動更新が"常にオン"になっていると、知らぬ間にサイズの大きいアプリが更新され、すぐに通信量上限に達してしまうのでとくに注意が必要だ。

通信量を節約するためには、Googleサービスなどの自動同期をオフしておこう

Google Playでのアプリの自動同期は、"常にオフ"か"Wi-Fiのみ"にしておくのがよい

プリペイドSIMは、どんな使い方に向いているか?

それでは、「OCN モバイル ONE」のプリペイドSIMがどんな使い方に向いているか考えてみよう。まず最有力なのが、フィーチャーフォンとの2台持ちでスマートフォンを利用したいときだ。延長パッケージでは、50日間の利用料が2,980円と割安となるため、SIMカードを継続して利用することで、1カ月あたりのスマートフォンの通信料を1,800円以下に抑えられ、2台持ちの負担をかなり軽減できるだろう。

また、ドコモのスマートフォンにプリペイドSIMカードを装着して利用できるため、家族の使っていた端末などを使えば、初期費用を安く抑えることも可能だ。通話用としてフィーチャーフォンが手放せないという人であっても、低料金でスマートフォンを利用でき、アプリでTwitterやLINEなどのソーシャルサービスを楽しめるはずだ。

次に、プリペイドSIMは、子供に最初のスマートフォンを持たせるときにも最適だ。子供からスマートフォンを使ってみたいという要望が出た際に、いきなりキャリアのスマートフォンを契約するのは利用料金が高く、使いこなしにも不安がある。そこで、自身が使っていた中古の端末とプリペイドSIMを組み合わせて子供に与えることで、通信料を安く抑えられるとともに、万が一、使いこなせなかった場合でも、中途解約手数料を支払うことなく使用を止めることが可能だ。また、プリペイドSIMのパッケージと同様に、Google PlayやApp Storeなどのギフトカードもコンビニで購入できる。それらのギフトカードを利用すれば、クレジットカードを登録することなく、有料アプリを購入したり、アプリ内課金でアイテムを購入可能だ。通信の使いすぎだけでなく、お金の遣いすぎも防止でき、節度を持ったスマートフォンの使い方を子供に身につけさせることができるだろう。

そのほか、最近では「Nexsus 7」などの低価格のSIMフリーのタブレット端末も多く販売されている。また、これまでオンラインでのみ販売されていたSIMフリー版iPhoneのApple Store店頭での販売も開始されるなど、「OCN モバイル ONE」のプリペイドSIMを利用できる端末の選択肢は広がってきている。自身の使い方に合わせて、好みの端末でプリペイドSIMを活用できるだろう。

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格安SIMカードは、これまでインターネットでの販売がほとんどであり、月額制のプランも多く、クレジットカードの利用が必須であったため、一般的なユーザーにとっては、ややハードルが高かったと言える。今回、「OCN モバイル ONE」のプリペイドSIMカードがコンビニで購入できるようになったことで、クレジットカードを持っていない学生や、ネット販売になじみが薄いシニアなど、幅広い層に格安SIMカードが浸透していくことだろう。