ケータイメールがキラーアプリとなっていたことから、日本人は日本語を、ダイヤルキーの連打と予測変換を活用して非常に高速に入力する方法を獲得した。ツールによって、言語の使い方とそれを司る親指が進化を果たしていたわけだ。

その後、iPhoneには「フリック入力」と呼ばれる、テンキーをベースとした新しい文字入力が搭載され、その後スマートフォンの日本語入力法として定着した。米国に住んでいてフリック入力をしているところを見ると、まるでジェスチャーで文字入力しているようだと驚かれるほど、不思議な使い方をしているようだ。

海外でiPhone以前にスマートフォン市場を席巻していたBlackBerryは、上半分が画面、下半分が細々したQWERTYキーボードを搭載しており、それでも、英文のメールが快適に入力できると人気だった。つまりキーボードのサイズが、端末のサイズや画面サイズを決定していたことになる。

画面全体がタッチパネルディスプレイになっても、画面サイズが端末の大きさを決定し、同時に画面に表示されるキーボードなどのサイズも決定するようになった。大きな端末は画面が大きく、キーボードも広く使える。

では、画面が大きければ使いやすいか? といわれるとそうでもない。画面が大きいと、指のリーチでカバーしなければならない領域が広がり、手が小さな筆者にとっては、iPhoneですら、縦に伸びて画面上部に表示されたボタンに届かなくなってしまった。

タッチパネルが搭載された、操作に関わるスマートフォンのディスプレイは、コンテンツなどは画面が大きい方が使いやすいが、大きければ大きい程よいか、といわれるとそうではない。しかも、手の大きさなどによって個人差によるところも大きい。Androidデバイスは、画面サイズの大小でモデルを分けてリリースしているが、Appleもそうした対応が今後必要になるだろう。