Firefox 26の新機能

Firefox 26でも、新しいテーマデザインのAustralisの実装は見送られたようである。今回の新機能や修正点は以下の通りである。

  • すべてのJavaプラグインの起動にクリックが必要に
  • パスワードマネージャがスクリプトによって作られたパスワードフィールドに対応
  • Windows版では、Firefoxをインストールした際と異なるユーザーでログインしていても更新可能に(この機能を利用するにはMozilla Maintenance Serviceが必要)
  • LinuxでのH.264の再生をサポート。ただし、適切なgstreamerプラグインがインストールされている必要がある
  • WindowsのすべてのバージョンでMP3がサポート(Windows XPでもMP3再生が可能に)
  • 複数のCSPポリシーに対応。これによりスペックにあるenforceポリシーとreport-onlyポリシーを利用可能に
  • 画像単体の表示時に、JPEG画像に含まれるEXIF情報を利用して縦横を決定(Bug 298619)
  • 表示されない画像をデコードしないようになったため、表示速度が向上(Bug 847223)
  • Mac OS XでのMP3再生にAudioToolboxを利用(Bug 914479)

Javaプラグインであるが、これはバージョン14から実装されているClick and Playを使ったものだ。これまでのバージョンでは、すべてのプラグインはインストール時点で有効になる。しかし、Javaプラグインに関しては、クリックしないと起動しない。

図4: JavaプラグインのClich And Play

図4のように、プラグイン部分がグレーアウトし、クリックしないとプラグインは実行できない。インターネット上の脅威として、Javaのみならずプラグインの脆弱性が悪用されることが多い。つまり、危険なプログラムを自動的に起動させないことで、ウイルス感染などを防ぐことが可能になる。とはいえ、Webページなどが正しく表示されなくなり、不便なこともある。図4からも、[常に許可する]をクリックことで設定を変更可能である。これ以外にも、アドオンマネージャで[プラグイン]タブを表示する(図5)。

図5: アドオンマネージャの[プラグイン]タブ

個々のプラグインの右にある。[実行時に確認する]を[常に有効化する]に変更すればよい。当初、Flash以外のプラグインに対してこの設定となる予定であった。Flashを除外するのは、非現実的という判断もあったのだろう(確かに安全かもしれないが、多くのWebサイトが正しく表示されないし、初心者には何が原因かわからず混乱の原因となる可能性もある)。それが、Javaプラグイン以外に変更となったのは、ユーザーのさらなる利便性を考慮してのことと推察される。しかし、現在、Javaプラグインを使う機会は、それほど多くはない。脆弱性を狙われることもあるが、もともとインストールしていないユーザーも多いのではないか。その意味では、あまり効果的な機能といいがたい。真に安全を考えるのであれば、他のプラグインについても、[実行時に確認する]を検討してもいいだろう。

開発者向け関連では、以下の通りである。

  • Social APIのソーシャルブックマーク機能が複数のソースシャルブックマークサービスに対応
  • appcache利用時の通知がされなくなった
  • CSSのimage orientation属性をサポート
  • Appマネージャが追加され、Firefox OS端末やFirefox OSシミュレータへのアプリのインストールやデバッグが容易に
  • IndexedDB利用時に通知が不必要に。また、データは一時的なストレージエリア中のプールに保存され、LRUに従って転送

セキュリティアップデート

今回のバージョンアップでは、以下のセキュリティアップデートが行われた。

  • 誤発行されたANSSI/DCSSI証明書[高]
  • JPEGによる情報漏えい[高]
  • GetElementIC型の配列スタブが監視された型セット外で生成可能[高]
  • 人工マウス動作における解放後使用[最高]
  • EV証明書の検証時に組み込みルート証明書の信頼設定が無視される[中]
  • 選択内容の貼り付けを通じたクリップボード情報漏えい (Linux)[低]
  • 順序付きリスト要素の置き換え中に生じるセグメンテーション違反[最高]
  • JavaScriptバイナリ検索アルゴリズムにおける潜在的オーバーフロー[中]
  • テーブル編集時の解放後使用[最高]
  • イベントリスナー内での解放後使用[最高]
  • サンドボックス制限が入れ子になったオブジェクト要素に適用されない[低]
  • 文字エンコーディングによるクロスオリジンXSS[低]
  • アプリケーションのインストール確認 UI がページ遷移後も表示される[中]
  • さまざまなメモリ安全性の問題(rv:26.0/rv:24.2)[最高]
  • バージョン26では、目新しい新機能はやや乏しいという感じである。しかし、セキュリティアップデートは多数ある。すみやかにアップデートを行うべきである。