難問だった「軽い黒」の塗装、50品以上を試作

NECデザイン&プロモーションのデザイン事業本部プロダクトデザイン部の小林猛氏

NECデザイン&プロモーションのデザイン事業本部プロダクトデザイン部の小林猛氏は、きょう体デザインを説明した。

全体で"無駄のないデザイン"を採用したというが、特に排気口のデザインは、従来の傾斜のついた長円形だと排気口と内部リブが干渉するという問題があった。そこで新「LaVie Z」では、三角形の穴を組み合わせることで、シャープなデザインと強度を両立させたという。

また、「軽い黒」を目指した本体の塗装は苦労したポイントの1つ。新「LaVie Z」では本体カラーにストームブラックを採用するが、これは前モデルでは無かった新色となる。

「コート数を増やして質感や表現力を出すのは簡単だが、重くなってしまう。1コートでどれだけクオリティの高いブラックを作るかが課題だった」(小林氏)

会場に並べられた試作品。ツヤのある黒からざらついた黒、薄い黒までさまざまな"ブラック"が並ぶ

塗装には、装飾だけでなく素材のあらを隠す意味合いもある。試作するなかで、ブラックはシルバーに比べ表面のあらが目立ちやすいということも分かった。質感はサラサラかザラザラか、ツヤ感はクリアかマットか、色味は赤系の黒か、青系の黒か、緑系の黒か。試行錯誤した結果、「50以上に及ぶ試作の中から、希望の色に最適なものを選ぶことができた。質感を上げるため、天板には細かいメタリックも入っている」(小林氏)。

また、天板とパームレスト部にはマグネシウム、底面にはマグネシウムリチウム合金が採用されているが、この素材の違いによっても発色が変わるため、天板・パームレスト部と、底面では、同じ色味を出すため異なる塗料を調合しているという。

排気口デザインを三角形の組み合わせにし、内部に直線のリブが配置できるように設計した

「軽い黒」を実現するため、塗装の隠蔽性向上と質感のバランス、色味調整で50以上の試作を実施

世界最軽量のために調達した液晶パネル

液晶パネル周りを担当する、NECパーソナルコンピュータ資材部の詫間健治氏

液晶パネル部分については、NECパーソナルコンピュータ資材部の詫間健治氏が解説。資材部というと聞き慣れないが、キーパーツ技術部に属する詫間氏は市場動向のリサーチ、実装方法など開発の深い部分にも関わるという。

今回の新LaVie Zは、液晶パネルの調達も一筋縄ではなかったという。液晶は通常2カ月で開発が決定し、仕様設定や価格交渉などを行うが、新LaVie Zでは選定に時間がかかり、開発までに約5カ月を費やした。

新LaVie Zに載せる液晶は「軽量」「高精細」「高画質」の3つがポイントだった。これを実現できる液晶の調査を開始したものの、ターゲットに合う製品が無いため、新開発という方向で調査。そして開発可能なベンダを見つけ「世界最軽量を実現するんだという主題で何度も打ち合わせた」。そして、これも異例のことというが、仕様や日程、検証、商流、実装の検証まで済ませた上で開発に踏み切ったという。

そうして開発された液晶パネルは、13.3型クラスで最薄という0.25mm厚を実現。従来の4mmから0.15mm薄型化し、重量では20%から30%の重量減になったという。高精細ではIGZOの採用で221ppiとなり、従来のアモルファスシリコン(a-Si)より高精細かつ消費電力を低減させた。高画質では、従来のTNパネルから、VAパネルおよびIPSパネルを採用し、コントラストや色純度が従来比で1.6倍から2倍に向上した。

新「LaVie Z」の液晶は「軽量」「高精細」「高画質」の3つがポイント

新しい液晶パネルは3つのポイントを技術的に全てクリア

必要な「サプライズ」を実現できた新「LaVie Z」

最後に、中井氏は新しい「LaVie Z」を次のように総括した。

「LaVie Zのような尖った商品は、サプライズが必要。買って一週間で飽きるものではダメ。新LaVie Zは、いつも持ち上げるたびに軽さを感じる、3年も4年も体感できる、そういう商品にできたと思う」(中井氏)