ブランド総合研究所は9月30日、iPhone 5s/5cの購入意向者への意識調査およびiPhone 5sを使ったパケ詰まり調査の結果を発表した。調査結果をまとめると、購入意向者への意識調査では、iPhone 5s/5cを購入する際には「通信サービス」「費用」が重視されることが明らかになった。また、都内で実施されたパケ詰まり調査では、KDDI(au)版iPhone 5sのパケ詰まり率がもっとも低かった。

au版iPhone 5sのパケ詰まり率がもっとも低い結果に

まず、iPhone 5s/5cの購入意向がある消費者695名を対象とした意識調査では、購入にあたってどのような点を重視するかを複数回答で尋ねた。その結果、もっとも多かったのは「通信サービス」で63.9%。次いで、「費用」(63.7%)という回答が僅差で挙げられた。通信サービスと費用を同じように重視しているユーザー心理が明らかになった。

iPhone 5s/5cの購入にあたって重視する点は何か?

さらに、「通信サービス」が重要と回答した人に、具体的に何を重視しているかを聞いたところ、「通信速度が速いこと」がもっとも多く67.6%、次いで、「通信エリアが広いこと」が66.9%、「通信が途切れず、安定していること」が61.0%という結果となった。通信サービスにおいて、とりわけ「速さ」「エリア」「途切れないこと」が重要と考えられているのがわかる。

通信サービスの品質面において、具体的に何を重視するか?

意識調査の結果を踏まえ、同研究所では消費者がiPhone 5s/5c購入にあたって重視している通信状況について、都内のJR山手線6駅でiPhone 5sを用いた調査を実施した。調査に使用したのはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク各社のiPhone 5sで、調査場所はJR山手線の新宿駅、渋谷駅、品川駅、有楽町駅、東京駅、秋葉原駅という主要6駅の構内ホーム。iPhone 5sのWebブラウザで「Yahoo! JAPAN」のトップページが完全に表示されるまでの時間を計測し、表示までに15秒経過したものを「パケ詰まり」としてカウントするという方法で実施。1駅で朝、昼、夕、3つの時間帯に分けて計測を行い、各端末ごとに全カ所合計840回の計測を実施した。期間は9月24日、25日。

調査結果によると、パケ詰まりを起こす割合がもっとも低かったのはKDDIでパケ詰まり率は2.4%。次いで、ソフトバンクが3.9%で2位となり、ドコモは16.8%と他2キャリアと比較して高いパケ詰まり率を記録した。

3キャリアのiPhone 5sを使用したパケ詰まり調査。KDDIがもっともパケ詰まり率が低い

また、Webページの平均表示時間の比較では、もっとも表示時間が短かったのはKDDIとソフトバンクで平均5.29秒の同タイム。一方、ドコモは平均9.37秒と他2キャリアに引き離され、2倍近い差がつく結果となった。

Webページの平均表示速度では、KDDIとソフトバンクが同タイムで首位となった

今回の3キャリアのiPhone 5sを用いて都内で実施された調査では、KDDI版iPhone 5sがもっともパケ詰まりが少ないことが明らかになった。また、Webページの平均表示速度ではKDDIとソフトバンクが同タイムで首位となった。消費者も重視する通信サービス面で、KDDIが優位であることが示されたが、これはiPhone 5s/5cが新たに対応し、同社がアピールしているプラチナバンドの800MHz帯のLTEが影響していると考えられる。また、3キャリアのLTE基地局数でもKDDIがリードしており、2013年8月時点のLTE基地局免許許可数(総務省ホームページで公表)では、iPhone 5s/5cに対応する周波数帯でドコモが3.4万、KDDIが5.5万、ソフトバンクが3.8万となっている。そのうち、プラチナバンドの基地局数はドコモが0.2万、KDDIが3.1万とKDDIが大きくリードしている。なおソフトバンクは、現時点ではプラチナバンドをLTEに利用していない。これらのLTEの整備が進んでいることが今回のKDDI優位の結果につながったと言えるだろう。

今回の結果で、もう一つ気になるのはドコモ版iPhone 5sが、パケ詰まり率、Webページの表示速度のいずれでも他2キャリアに大きく差を開けられていることだ。iPhone 5s/5cの発売日にマイナビニュースが実施した通信速度調査でも、ドコモ版iPhone 5sはKDDI版やソフトバンク版に大きく引き離される場合があり、良い結果は出ていない。

一般的に、通信速度やつながりやすさは、ネットワークの混雑状況にも影響されるため、多くの契約者を抱えるドコモは、とくに都市部で不利となる場合がある。しかし、個々のユーザーにとっては自分が快適に使えるかどうかが重要であり、契約者の多さは言い訳にはできない状況だと言える。今回は、都内主要駅におけるiPhone 5sの通信状況が明らかになったが、今後、全国で実施されるであろう各種調査の結果や、各キャリアのiPhone 5s/5cの売れ行きの推移にも注目だ。