マウスコンピューターの最上位機種である「MDV ADVANCE」のX79チップセット搭載シリーズに、"Ivy Bridge-E"のコードネームで呼ばれるハイエンドユーザー向け新CPU採用モデルが登場した。メインメモリやPCI Expressへのより高速なアクセス、6コアCPUへのステップアップ、オーバークロック動作(※)など、BTOマシンならではのマニアックな楽しみ方も可能な、上級者向けPCとなっている。

今回は、Core i7-4820KとGeForce GTX 760を搭載し、ゲームからクリエイション用途までパワーを求められるさまざまな用途に対応できる、「MDV-GX9200B」(販売価格159,600円)の実機をチェックしてみよう。

※オーバークロックツールやBIOS画面から標準動作周波数を超える倍率を設定することができるが、あくまでメーカー保証外となるので注意してほしい。

「MDV ADVANCE」シリーズでCore i7-4820KとGeForce GTX 760を搭載する「MDV-GX9200B」

ハイエンドユーザーのための新CPU "Ivy Bridge-E"

MDV ADVANCEは、マウスコンピューターブランドのデスクトップPCで最上位の製品群となっているが、その中にも採用CPU・チップセットに応じて、第3世代Coreプロセッサー搭載モデル、第4世代Coreプロセッサー搭載モデル、そして今回のX79チップセット搭載モデルの3シリーズが用意されている。

X79チップセットに組み合わせるCPUとしては、"Sandy Bridge-E"のコードネームで呼ばれる32nmプロセスで製造されたCore i7-3800番台および3900番台が用意されていた。しかし9月に入ってから、22nmプロセスにシュリンクしたIvy Bridge-E世代のCPU、Core i7-4800番台および4900番台が、X79チップセットに組み合わせるCPUとして、新たにインテルより提供が開始された。Ivy Bridge-Eは、その名前からもわかる通り、最新の"Haswell"よりも一世代前のマイクロアーキテクチャをベースとしているが、メインストリームユーザー向けのHaswellに対し、ハイエンドユーザー向けの各種フィーチャーを用意している。

Core i7-4820Kと32GBものメモリを標準搭載している

まず挙げられるのがメモリアクセスの帯域で、Haswellや従来のIvy BridgeではCPUとメインメモリの接続がデュアル(2)チャネルだったところ、Ivy Bridge-Eでは倍のクアッド(4)チャネルとなっており、4枚のメモリモジュールを装着することで、一般的なマシンの倍の帯域幅を得られるようになっている。さらに、Sandy Bridge-EではPC3-12800までのメモリモジュールをサポートしていたが、Ivy Bridge-EではさらにPC3-14900にも対応したことで、一層の高速化が図られている。また、搭載可能なメモリサイズも最大で8GB×8枚の計64GBとなっているので、CGクリエイターなど非常に大きなデータを扱うユーザーのニーズにも対応できる。

MDV-GX9200Bは、8GBのPC3-14900モジュールを4枚搭載し、クアッドチャネルアクセス動作となっている

グラフィックスカード用のPCI Express帯域も、一般的なPCに使われるZ87チップセットなどでは16レーンなのに対し、X79チップセットでは40レーンとなっている。これは、複数のグラフィックスカードを搭載する場合にメリットがあり、通常は16レーンを分割して2本のPCI Express x8スロットとしての動作になるところ、本機ではPCI Express x16スロット2本をフルに使用しても、まだ8レーン分の余裕がある勘定になる。実際にマザーボード上にはPCI Express x16サイズのスロットが4本用意されているので、PCI Express x16動作×1枚+PCI Express x8動作×3枚といった構成で、計4枚のグラフィックスカードを装着することも可能だ。

サイドカバーを開けたところ。PCI Express x16サイズの拡張スロットは実に4本を備える

「ヘキサコア」CPUも選択可能なBTOラインナップ

そして、ヘキサ(6)コアのCPUに対応しているのが、X79チップセットの大きな特徴だ。MDV-GX9200Bの標準構成で搭載されるのは4コアのCore i7-4820K(動作周波数3.70GHz、ターボ・ブースト機能利用時時最大3.90GHz)で、これもキャッシュサイズが10MBと豪勢なモデルだが、BTOオプションでは6コア版のCore i7-4930K(同3.40GHz、同最大3.90GHz、12MBキャッシュ)およびCore i7-4960X Extreme Edition(同3.60GHz、同最大4.00GHz、15MBキャッシュ)が用意されている。

これらは現状最強のCPU群といって差し支えない。特に、マルチスレッド動作への最適化が進んでいる動画エンコーディング、CGレンダリングなどの用途では、6コアCPUを選択することで処理時間の大幅な短縮が期待できる。また、これら3種のCPUは、いずれも動作倍率の設定にロックがかけられていないので、前述の通りオーバークロック動作が可能。オーバークロックに関しては設定方法、ツール提供など含めサポート外となっており、動作自体が無保証だが、知識のあるユーザーは自分で設定を変更して、一層のパフォーマンスアップを試みることができる。

CPUクーラーも3種類から選べるようになっており、ノーブランドの空冷式クーラー、Cooler Master製の「Hyper 212 EVO」、水冷式クーラーが用意されている。今回の試用機にはHyper 212 EVOが装着されていたが、下の写真でわかるように、ケース内部の中央に巨大なフィンと120mmファンがそびえ立つのはかなりの迫力だ。このような大型クーラーを取り付けるには、多少のDIY経験が必要だが、グリスの塗布、確実な固定、冷却性能のテストなどが、メーカーによって行われているという点で安心感がある。なお、グリスもBTOオプションでより熱伝導率の高いシルバーグリス(AINEX AS-05)を選択することができる。

Cooler Masterの「Hyper 212 EVO」を搭載可能。4本のヒートパイプが直接CPUに接触し高い冷却性能を発揮する

側面スリットからの吸気だが、オプションでフロントパネルをスチールメッシュパネルに交換することもできる

グラフィックスカードはGeForce GTX 760が標準で、これでも大部分のゲームを快適に楽しめるが、GeForce GTX 770およびGTX 780もオプションとして用意されているので、海外製の最新FPSなど、特に高いグラフィックス性能を要求されるタイトルをプレイするコアゲーマーは、必要に応じて上位のカードを選択できる。

MDV-GX9200Bの標準構成ではGeForce GTX 760を搭載。後述するが大部分のゲームに対応可能な性能を有している

そのほか、標準構成ではストレージは1TBのHDDのみとなっているが、このマシンに関心を寄せるユーザーなら、おそらくSSDを追加するのが当然だろう。Samsung 840の120GB、東芝HG5dの128/256/512GB、インテル520の120/480/480(240×2)GBに加え、夏に発売された新製品・インテル530の180/240/360(180×2)GBが選択できる。

3.5インチHDDは、ネジ止めなしで取り付けられるホルダー式のベイ