東京工業大学(東工大)は9月3日、メタン発酵における急激な性能低下の指標微生物「Geobacter属細菌」を発見したと発表した。

同成果は同大 理工学研究科国際開発工学専攻の中崎清彦 教授らによるもの。詳細は「Process Biochemistry」に掲載された。

メタン発酵は複数の微生物が共存する複合微生物の系であるため、発酵装置を安定的に高効率で運転する操作条件を知ることが難しい。特に、装置性能を高める際、有機物負荷を増加させるメタン発酵の馴養過程で、突然メタンガスが発生しなくなる急激な性能低下が発生することが知られているが、これまでに、それを予測する方法が確立されていなかったという。

今回、研究グループはメタン発酵の馴養過程で、メタンガス生成速度を定量し、メタン発酵に寄与する微生物群、バクテリアとアーキアの微生物叢変化をDNA解析に基づく方法(PCR-DGGE法)で測定を実施。その結果、アーキアがメタンガスを作るために必要な水素を奪って発酵を阻害するGeobacter属細菌の濃度をモニターした値から、有機物負荷量を調節することで安定的で高効率なメタン発酵が可能になることが示唆される結論を得たという。

PCR-DGGE法を用いたメタン発酵過程における細菌叢の経時変化。各レーンの上部にあるSおよび数字は種汚泥と発酵日数に対応