IDC Japanは8月22日、国内企業における仮想化に関する導入状況の調査結果を発表した。サーバ仮想化を実施している企業の半数以上が、サーバだけでなくネットワークやストレージ、クライアントの仮想化も進めていることが判明した。

本調査は2013年6月にアンケート形式で実施され、仮想化ソフトウェアによるサーバ仮想化を実施している企業434社、実施を検討している企業81社の有効回答を得た。

仮想化ソフトウェアによるサーバ仮想化の実施時期については、2009年以前に実施している企業は26.4%、2010年の実施は15.1%、2011年の実施も15.1%、2012年の実施は22.3%、2013年(6月時点)の実施は5.2%となった。残りは2013年7月以降に実施する予定とのことだ。

従業員5,000人以上の大手企業では、2010年までに実施している企業が約59.2%となり、早い時期にサーバ仮想化が実施されていることがわかった。これに対して、100~499人の中堅中小企業では2010年以前の実施が36.9%に対し、2011年~2013年の実施が46.2%となり、2011年以降の実施が増えている。

またIDCでは、サーバ仮想化を実施している企業434社に対し、クライアント仮想化、ストレージ仮想化、ネットワーク仮想化の実施状況について調査。それによると「サーバ仮想化のみ」という回答は、42.6%で半数以下にとどまった。残りの半数以上は複数の技術セグメントで仮想化を実施しており、「サーバ+ネットワーク+ストレージ+クライアント」が14.1%、「サーバ+ストレージ」が10.4%、「サーバ+クライアント」が9.9%、「サーバ+ネットワーク」が8.1%となった。この結果から、サーバだけではなく、その他の技術セグメントでの仮想化が進みつつあることがうかがえる。

国内企業における技術セグメント別仮想化実施状況(サーバ仮想化実施企業に限る)

ネットワーク仮想化を実施している企業において、その効果として「ネットワークの管理が一元化できる」と「VLANを拡張できる」が29.6%で最も多く、「ネットワークの冗長性、可用性が高まる」と「ネットワーク構成を柔軟に変更できる」が24.4%で続いた。また、仮想化している物理サーバが50台以上である大規模な仮想化を実施している企業では、「ネットワーク機器のコストが削減される」と「ネットワークの設定作業負担が軽減される」が28.6%と高い回答率となり、ハードウェアコストと運用コストの削減効果が大きくなっている。

IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ シニアマーケットアナリストの入谷光浩氏は、「仮想化はサーバだけにとどまらず、ネットワーク、ストレージ、クライアントにも浸透しつつある。さらに仮想化が進展していくと、それぞれの境界は小さくなり、ITインフラ全体の一元管理の実現に向かう。今後、ベンダーやシステムインテグレーターは個々の仮想化ソリューションではなく、包括的な仮想化ソリューションを提供していくことが重要となる」と述べている。