14~16日の3日間、東京ビッグサイトで「国際モダンホスピタルショウ2013」が開催されている。イベント名の通り医療・福祉をテーマとした展示会で医療機器などが多く出展されているが、その一方で医療情報システムゾーンが会場全体のおよそ半分を占める。専用ハードウェアから、タブレットやスマートフォンなどとの連携まで、多様な展示を見ることができる。
その中で、ファイルメーカーもブースを構え、開発パートナー13社とともにFileMakerとiPadを中心としたソリューションを数多く展示している。
ひとことで医療支援システムといっても、病院の規模も診療科もひとつひとつ違うし、既存の基幹システムなども異なる。そのため、出展内容は基本システムやひな形のようなもので、実際には医療機関ごとに要望を聞いてカスタマイズしたものを納品するというベンダーが多い。実装したい機能や導入の規模が医療機関によって異なるのはもちろんのこと、スタッフが使う端末はパソコンかiPadかiPod touchか、などの要望もある。DBPowers(6参照)の「北海道あんしん連携ノートシステム」のように、クライアント側はブラウザでアクセスするという選択肢もある。バックエンドにしても、FileMaker Serverを使う場合もあれば、既存の基幹システムとFileMaker Serverを連携させる場合もある。 そのように、案件ごとに必要な機能や使い方を柔軟に実現できるのが、FileMakerによるシステム開発の大きな利点であるという声が、多くのベンダーから聞かれた。テクノネットワーク(5参照)では、病院のITスタッフにFileMakerを説明して院内でもある程度のカスタマイズができるようにしているそうだ。
2 イエスウィキャンの透析管理システム(「認証くんPro」)。透析のためのベッドの空き状況、スケジュール、薬剤などをiPad上でまとめて管理できる。患者の手首、ベッド、薬剤などに付けてあるバーコードをハンドヘルドスキャナで読み取ることで、ミスの防止と業務効率の向上につながる |
3 ジェネコムの病床管理・看護記録システム"SPACE"。スタッフがiPadを持ち歩くことで、どこからでもアクセスし、情報共有できる。タブレットの特性を考慮し、文字入力をなるべく減らす工夫が随所に盛り込まれている。院内掲示板が用意されていて、みんなに情報を伝えられることも好評だという |
4 オネストのCANVAS Clinic。ベッドマップ、医師からの指示、投薬の記録など、多くの情報をiPadで利用できる。記録されている検査の数値をグラフ化する機能も実装可能。iPadの限られた画面に必要な情報を使いやすく盛り込むことに配慮しているという。リハビリの記録や勤務管理など、ニーズに応じて機能を組み込めるとのこと |
5 EZ Cabinetを展示しているテクノネットワークは、もともとレセコンのORCAを扱っていたが、病院側からの要望でORCAとFileMakerと連携するシステムを手がけるようになった。ある病院では、当初はiPad miniが好評だったがさらに小型化したいという要望が生まれ、今では看護士全員がiPod touchを持ち歩いて活用しているという |
6 DBPowersは、北海道内の医療機関などで情報を共有するシステムをFileMakerベースで開発している。複数の病院や在宅サービスなどが連携できるDASCH Proのほか、2011年からは地域連携クリティカルパスを活用した北海道あんしん連携ノートシステムも運用。いずれも、複数の医療機関や関係者の間で情報を共有できる点が注目される |
このように、医療・福祉分野に携わる人はもとより、他の業種から見てもシステム開発のヒントになりそうなソリューションが数多く展示されている。参考にしてみてはいかがだろうか。