ルネサス エレクトロニクスは、スマートフォン/タブレット搭載カメラ向けの光学式手振れ補正(OIS:Optical Image Stabilizer)ドライバIC「RAA305170GBM」を発表した。

近年、スマートフォン/タブレットPCの活用の場が広がるのにあわせ、搭載されているカメラにも高画素化、高機能化が求められるようになってきた。スマートフォンは、撮影時に手振れしやすいため、手振れ補正機能が必須であり、従来より電子式手振れ補正機能が用いられてきたが、近年のセンサの高画素化により、補正データが増大し、演算処理能力不足が問題となっている。一般のデジタルカメラでは、絞りや高速シャッターなどの補完機能で手振れを防止できるが、搭載スペースに限りのあるスマートフォンではそうした技術を用いるのは難しいため、レンズの位置補正による光学式手振れ補正技術の導入が検討されるようになってきた。

同製品は、スマートフォン向けにセンサ回路とドライバ回路3系統を搭載、最大3個のアクチュエータをサーボ制御でき、OISの3VCMサーボ制御やAFのクローズドループ制御に対応でき、OISの高性能化やAF制御の高速化が可能となる。

また、CPU(RL78)で手振れ量を検知・処理し、サーボ制御用DSPで手振れ補正用レンズを駆動する分散処理を行うため、低クロック動作による低消費電力動作と、サーボ制御用DSPによる高速サーボで高性能な手振れ補正を実現している。

さらに、DSPを内蔵することによって、アクチュエータ動作時の音響ノイズや、ジャイロセンサの熱による出力ドリフトに対して、デジタルフィルタを用いた調整が可能なほか、様々なアクチュエータにも対応できるため、モジュールチルト/レンズチルト/レンズシフトといった方式にも対応する。

加えて、内蔵フラッシュメモリにより、外部からファームウェアをダウンロードすることを不要としており、これにより、電源を入れた後のCPU起動時間が、フラッシュメモリ非搭載の従来品が40ミリ秒程度だったのに対し、同製品は0.7ミリ秒と短縮され、不意のシャッターチャンスも逃すことなく撮影ができるようになるとするほか、制御用ファームウェアなどをフラッシュメモリに格納することで、セット仕様の変更、制御パラメータの変更に柔軟に対応できたり、量産後のファームウェアの変更にも対応可能となる。

なお、サンプル価格は1000円。すでに、サンプル出荷を開始しており、量産は2014年第1四半期より月産1000万個で開始する計画。同社は、同市場に向けて、今後も製品投入を計画しており、2015年にシェア50%獲得することを目指すとしている。

ルネサスのスマートフォン搭載カメラ向け手振れ補正用ドライバIC「RAA305170GBM」