ワコムの22型モニター搭載の液晶ペンタブレット「Cintiq 22HD」にマルチタッチ機能を搭載した「Cintiq 22HD touch」が発売された。通常のペンタッチでの入力に加え、画面の回転や拡大・縮小を指でタッチして行うことができるというのが大きな特徴だ。

この記事では、ワコムの液晶ペンタブレットのラインナップの中ではいわば「Mサイズ」であるこの製品の実力や使用感を、「普段「Intuos5」を愛用している、フォトグラファー兼レタッチャー」としての立場からレポートしていきたいと思う。

■これまでの記事
【レビュー】CintiqとIntuosの書き心地の違いは? - レタッチャーの視点で見る「Cintiq 22HD touch」(1)
【レビュー】Cintiqのモニターキャリブレーションを実施、その結果は? - レタッチャーの視点で見る「Cintiq 22HD touch」(2)

前回は「Cintiq 22HD touch」のモニターとしての実力をカラーキャリブレーションを行って確認したが、第3回である今回は、「ペンタブレット」としての観点から評価していこうと思う。普段はIntuosを用いて作業している商業写真業界の人間から見て、「Cintiq」はどうなのか?という点を中心に、「Cintiq 22HD touch」が搭載しているマルチタッチ機能の使い心地についてもお届けする。

今回は「Cintiq 22HD touch」のペンならびにタッチ操作についてレポートする

"魔法のような操作感覚"の正体

第1回の記事で、このデバイスの使用感覚を「魔法のよう」と表現したのには、大きく分けてふたつの理由があった。ひとつは、Intuosを愛用している筆者からすると、筆圧検知が非常に繊細であると感じたこと。フォトレタッチにおいて、マスクを描く場合や、写真上に存在しない被写体やハイライトなどを描いてしまう際に重要な部分だ。

そしてもうひとつは、長時間の使用で手や腕の疲れ具合が少ないと感じたことだった。特に、パスを切る作業を行った際、疲れが非常に少ないと感じた。しばらく継続使用する機会を得て、この辺りの使用感がどういった理由でもたらされているのか、自分なりに見えてきた部分があった。

まずは筆圧検知に関して、「Cintiq 22HD touch」と「Intuos5」を同時に接続して慎重に描き心地を比べてみると、検知性能そのものには大きな差が無さそうであるとわかった。細い線をスッと入れてみたり、太くぼけた線を描いてみたり、「検知性能を評価しようと意識して」使用していると、どちらのペンタブレットも思い通りの線をキッチリ描くことができた。

検知性能の評価を目的に試し書きを行ったところ、CintiqもIntuosも思い通りの描線を描くことができた

「Cintiq」と「Intuos」は共通のペンを使用していることもあり、筆圧検知性能のカタログスペックは同じ(読取分解能 最高0.005mm、筆圧レベル 最高2048レベル、傾き検知レベル 最高±60レベル)だ。しかしながら、使用した感覚で評価すると、「Cintiq 22HD touch」にメリットが存在すると感じた。使い続けながらその理由を考える中で、突き詰めればある2点に秘密が隠されていると感じた。