リコーの高級コンパクトデジタルカメラ「GR」が登場した。人気の「GR DIGITAL」シリーズの最新モデルで、新たにAPS-Cサイズの大型センサーを搭載。生まれ変わったGRをテストしてみた。
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コンパクトデジカメで一眼レフ並みの画質
GRは、広角単焦点レンズを搭載し、画質にこだわったデジカメ「GR DIGITAL」シリーズの最新モデル。画質を重視した高級コンパクトデジカメとしては古参のシリーズだが、今回はモデル名から「DIGITAL」表記がなくなり、「GR」だけになっている。
変わったのは名前だけではない。最大の進化点が、有効画素数1,620万画素のAPS-Cサイズ(23.7×15.7mm)CMOSセンサーを搭載した点。従来モデル「GR DIGITAL IV」で1/1.7型センサーを搭載していたため、大幅に大型化されたことになる。デジカメの画質において、センサーの大きさは影響が大きい。単純にいって、センサーが大きければ大きいほど画質は向上するからだ。
最近は、1型サイズのセンサーからAPS-Cサイズ、フルサイズセンサーまで、高級コンパクト市場でセンサーの大型化が著しい。単純にセンサーを大型化したからといって、カメラとして使いやすいかどうかはまた別の問題ではある。ただ、画質重視のGRにとっては、大型センサー搭載は納得できる選択だ。
レンズは35mm判換算28mmの単焦点GR LENS。センサーサイズの大型化に伴い、実焦点距離も6mmから18.3mmになっている。レンズ構成は非球面レンズ2枚を含む5群7枚構成。固定式の単焦点であり、開放F値はF2.8と無理のない範囲になっていて、画質を重視した設計思想が窺える。
実際の画質も強力。大型センサーと無理のない単焦点レンズの効果か、細部までよく解像し、通常のコンパクトデジカメとは一線を画す写り。レンズは開放からシャープで発色も良く、単焦点レンズの良さが発揮されている。
また、センサーの前面に配置してモアレの発生を防ぐローパスフィルタが搭載されていない点も特徴。モアレを解消することができる代わりに、センサーとレンズの間にフィルタが入るため、解像感に影響があると言われている。今回、ローパスレスによりレンズの性能がダイレクトに発揮できるメリットがある。試用した限りは極端な問題は感じなかった。
高感度に関しても、大型センサーのためか低ノイズ化が図られている。同サイズのセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラに比べると、ややノイズが多いように感じたが、小サイズセンサーのカメラに比べればノイズは少なく、クリアに写る。それでいて、コンパクトデジカメ並みのサイズを実現しており、使い勝手がいい。
気になるのは手ブレ補正機能がない点。28mm相当の広角レンズとはいえ、一定以下のシャッタースピードになると手ブレする可能性は増える。センサーサイズが大きい分、ボケやすいので、少し絞って撮影しようとしても、今度は手ブレの心配が出てくる。
手ブレを嫌う場合は、積極的にISO感度を上げてシャッタースピードを稼いだ方がいいだろう。動体撮影の場合は被写体ブレも防げるので、ブレを気にする場合は、極力ISO感度を上げた方がよさそうだ。
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