買収後もTumblrは変わらないことを強くアピール

米Yahoo!は20日 (現地時間)、ブログ/ソーシャルネットワーキング・サービスを提供する米Tumblrを買収することを正式に発表した。約11億ドルを現金で支払う。順調に進めば、今年後半に買収手続きが完了する見通しだ。買収後もTumblrは米ニューヨークを拠点に独立事業として運営され、創設者のDavid Karp氏が引き続きCEOとして指揮を取る。

Tumblrはテキスト、Web記事の引用、リンク、写真、音声、動画を気軽に共有できるブログ・プラットフォームだ。そのサービスは「メディアミックスブログ」「オンライン版スクラップブック」 といった言葉で表現される。また他のユーザーをフォローするソーシャルネットワーキング機能を備えるのも特徴。設立は2007年で、当初はデスクトップブラウザで使用するサービスだったが、2009年にTumbleretteを買収して公式iOSアプリをリリース。シンプルなデザインと気軽なコンテンツ共有がモバイルに適していたことから、モバイル版のリリースによってユーザーの伸びに加速がついた。現在、ユニークビジター数は3億人/月、1日におよそ120,000件の新規登録が行われる。投稿数は900ポスト/秒。Tumblrユーザーの過半数がモバイルアプリを使用しており、その平均セッション数は7件/日だ。

買収合意の思惑は明確だ。デスクトップブラウザ時代のインターネットサービスであるYahoo!はモバイル強化と若いユーザー層へのアピールに努めており、若いモバイルユーザーに好まれているTumblrは同社の戦略にフィットする。Yahoo!によると、Tumblrの統合によってYahoo!のオーディエンスが約50%拡大し、トラフィックが約20%の伸びになる。一方、Tumblrには収益モデルの確立が求められているという事情がある。Yahoo! CEOのMarissa Mayer氏は「Yahooのパーソナライズ技術と検索インフラストラクチャがTumblrに導入されることで、ユーザーがより簡単にクリエイター、ブロガー、そしてコンテンツを見つけられるようになる」としている。これはTumblrユーザーに対して、Yahoo!とTumblrがより効果的に広告を提供できることを意味する。

Tumblr CEOのKarp氏は「われわれのチームは変わらない、ロードマップも同じだ。もちろん、クリエイターがすばらしいコンテンツを作り、それを求めるオーディエンスに結びつけるという我々のミッションも何ら変わることはない。では、何が新しいのか? Tumblrはより良く、そして速くなる。われわれが成すべき仕事は変わらず、ゴールまでの長い道のりに向けて、より大きなリソースを活用できるようになる」とブログで説明している。FacebookがTumblrに関心を持っているという噂もあったが、従来同様に活動できることを優先してYahoo!との合併を決断した可能性がある。しかしながら過去にYahoo!が買収したスタートアップを活かせなかったケースが数多くあり、また広告増を懸念して、Yahoo!傘下になるのに反対しているTumblrユーザーは多い。