機能対決その3 編集

動画編集ソフトの一番の要はもちろん、編集機能に関する点だ。テーマを使った編集の方法や、自動編集機能などをチェックしてみよう。

iMovie テーマを選んで当てはめていくのが基本

iMovieでは編集を始める際に、テーマや映画予告編の中から選んで開始する。プロジェクトテーマはフォトアルバムやフィルムストリップ、スポーツなど7種類。映画予告編は15種類にも及ぶ。

新規プロジェクトを追加するとダイアログからテーマを選んで使う。アスペクト比やフレームレートなどもここで決めよう

プロジェクトテーマはタイトルテキスト部やトランジションにテーマにあったものを使うことができる機能。例えばフィルムストリップというテーマを使うと、タイトルテキスト部に動画タイトルの付いたイメージが自動的に追加され、トランジションにもテーマに沿ったものが現れる。

編集はイベントライブラリから使いたいビデオの部分を選び、プロジェクトにドラッグ&ドロップする。撮影時には数分ある長いビデオでも、使いたい部分だけ範囲指定してドラッグ&ドロップすれば良い。最初と最後にはタタイトルテキストが、動画の繋ぎ部分にはトランジションが設定される。トランジションを追加したり差し換えたりするときもドラッグ&ドロップでOKだ。ビデオの調整は各クリップを選んだときに表示される歯車アイコンをクリックして行おう。

イベントライブラリにある素材で使いたい部分だけを選んでプロジェクトにドラッグ&ドロップ。テーマにあったタイトルテキストが自動的に付く

トランジションもテーマにあったものが指定できる。ビデオクリップの切り替え場所にドラッグ&ドロップで設定できる

クリップの音を消したいときやトランジションでの重なり調整など細かな編集はこのメニューから行う

BGMを付けたいときは[ミュージックとサウンドエフェクト]から曲を選んで同じようにドラッグ&ドロップ。ビデオの長さに応じたサイズでBGMとして添付できる。

音楽をiTunesライブラリから選んでドラッグ&ドロップしたところ。BGMは緑の枠で表示され、ビデオの流さに応じて自動的にトリミングされる

完成した動画は[共有]ー[ムービーを書き出す…]を選んで書き出すことができる。使用する機器に応じて書き出しを行おう。YouTubeやFacebookに直接投稿したり、iTunesへ登録、iDVDへ渡してDVD化などもここから行う。

共有メニュー。書き出しの他、SNSへの投稿、iTunesへの登録などもここから行う

書き出しを選んだ場合はどの機器で使うかなどで書き出しサイズを指定できる

映画予告編は1分前後のビデオに簡単にまとめる機能で、絵コンテに沿ってイベントライブラリのビデオを範囲指定していくだけでBGM、トランジションは自動で映画の予告編のようなビデオができる。絵コンテ部分が少し面倒だが、完成したビデオのクオリティは高い。

アウトラインにはタイトルと公開日、キャストなどを設定し、絵コンテを開いたらあとは範囲指定だけで絵コンテ内に割り付けていくと、クオリティの高いトレイラーができる

Premiere インスタントムービーで自動編集も可能

Premiereにはインスタントムービー機能がある。これはiMovieとは逆に、素材を選んだあとでテーマを選ぶことで、そのテーマを使って自動的にタイトルやトランジション、BGMを挿入したムービーを自動編集する機能だ。用意されているテーマはドライブ旅行やハロウィンなど40種類以上もある。ただテーマ用のコンテンツはネット上からダウンロードするが初回は非常に時間がかかり、ビデオの生成もクリップの長さによって加工時間が延びる。結果、最終的なビデオ編集が終わるまでにインスタントコーヒーが用意できるほどの時間がかかる。それでも何もしなくてもビデオを編集できるというのは便利だろう。

撮影した動画を並べてインスタントムービーボタンを押すとムービーテーマを選択するダイアログが表示される。初回選択時は素材のダウンロードに時間がかかるので注意しよう

素材がダウンロードされるとテーマに沿ってレンダリングが始まる。これにもそれなりに時間がかかるので、コーヒーでも飲みながらのんびり待ってみよう

テーマに沿ったビデオが自動で作成された。編集の自由度はないが、とにかくワンタッチでできるのは便利だ

インスタントムービーを使わない場合は、下にあるトランジションやエフェクトからドラッグ&ドロップでムービーに効果を加えていくことで編集できる。クリップをトリミングする場合はダブルクリックすると別ウインドウが開くので、ここでインとアウトを指定すれば指定された部分だけが使われる。

エフェクトやトランジションを下のツールからドラッグ&ドロップすれば簡単に効果を付けられる

ビデオの使いたいところだけをカットする場合はダブルクリックして別ウインドウで編集

さらに細かな編集がしたい場合はエキスパートモードに変更しよう。トラックを分けてレイヤー状態に重ねてエフェクトをかけたり、ナレーションやBGMを別トラックで扱うこともできる。

エキスパートモードでは複数のトラックを使って編集できる

完成したビデオは「書き出し・配信」メニューから書き出しを行う。それぞれの環境、端末にあった形式で書き出そう。

Facebook、YouTubeなどのWebサービスやiPhone、iPod、PSPなど機種に合った形式で書き出しが可能だ

  • 【結果】 Premiereのインスタントムービーは便利だが自由度が低いのが欠点。iMovieの映画予告編はカッコイイが絵コンテ通りの動画を撮るのは少し面倒。iPhoneのiMovieは絵コンテを見ながら動画を撮影する機能があるので、そちらで素材を揃えると便利だ。エフェクト等はPremiereの方が多い。

機能対決その4 その他の機能

その他、動画編集に便利な機能を確認してみよう。

iMovie 人認識や手ぶれ補正など

iMovieにはビデオを解析して便利に使う機能がある。[ファイル]ー[ビデオを解析]から手ぶれ補正と人物を選ぶと、ビデオの手ぶれを修正したりビデオに映っている人の顔を解析して抽出することができる。イベントライブラリ上で赤い波線は手ぶれ補正が入ったところ、紫の線は人物認識をした部分、オレンジの線はプロジェクトに使った部分だ。

[ファイル]-[ビデオを解析]から「手ぶれ補正と人物」を選ぶとイベントライブラリ内のビデオを解析する

人物ボタンを押して認識した部分だけを抽出することもできる。だらだらと長いビデオの中から人物が映っている部分だけを繋ぐなどの処理が可能だ

イベント内のクリップに付いている赤い波線が手ぶれ補正、紫が人物認識、オレンジの線がプロジェクトに使った部分

ワンステップエフェクトと呼ばれる機能はビデオの一部を選択して簡単に加えられる編集効果だ。例えばインスタントリプレイは選択した部分にかけるとその部分だけをスローモーションでリプレイする。テレビのスポーツ番組などで見られるシーン効果が簡単に付けられる。他にも選択部分を巻き戻したり、早送りやスローモーションをかけることもできる。

リプレイしたい部分を選択してインスタントリプレイをかける

リプレイ部分が自動的に切り出されスローモーションリプレイの効果が付けられる

Premiere 人物解析など

Premiereの場合、人物解析などは前述のElements Organizerで行う。ファイル類の操作は基本的にOrganizerで行い、Premiereはビデオ編集だけをするという役割だ。

人物の検出はOrganizerで行い、分類した中からドラッグ&ドロップで利用する

効果にはストップモーションを出す「フリーズフレーム」や、動画や静止画の指定位置を表示する「パンとズーム」などが使える。これらはツールから呼び出そう。

ポイントを決めてストップモーション処理ができる「フリーズフレーム」

動画や静止画の表示部分を指定できる「パンとズーム」。少し調整の仕方が難しい

もうひとつ、ツールから使える機能にSmartTrimがある。これはクリップの品質や興味深さを自動的に判断してクリップを編集する機能で、良くない部分と判断されたクリップの部分には青い斜線が付く。ただ思い通りに切れることはないので使いづらいところもある。

SmartTrimでカットと判断された部分に青い斜線が付く

  • 【結果】 どの機能も分かりやすく使いやすいiMovie。少しクセがあるPremiereは使い込むと良くなってきそうだ。