これまで"表計算ソフト"と"プレゼンソフト"でOffice for MacとiWorkの対決を行なってきたこの「Mac定番ソフト十番勝負!」。今回は趣向を変え、4本のIM(インプットメソッド、日本語入力ソフト)をチェックする。取り上げるのは、Mac標準の「ことえり」、日本語入力の雄「ATOK」、新興勢力の「Google日本語入力」、Macユーザーに愛されてきた「かわせみ」の4本だ。
Mac OS X標準の日本語入力機能「ことえり」
「ことえり」の歴史は古い。まだMacがOS Xになる前の時代、「漢字Talk7.1」から登場したIMだ。初期は辞書の単語数が少なく、変換効率が悪くて使い勝手に不満を感じるユーザーが多かったが、徐々に改良を重ねられていった。現在のバージョンは4.4。AI変換なども採用しており、変換効率は大幅に向上している。
日本語入力ソフトの雄「ATOK」
日本語を扱う上で「ATOK」を避けて通ることはできないだろう。元々はMS-DOS時代のベストセラー日本語ワープロソフト「一太郎」に付属したIM(当時はFEPと言った)で、現在は日本語入力ソフトとして単体でも販売されている。非常に優秀な変換効率とAI変換などで「ATOK様が仕事をしてくださる」などと嘯くライターもいるとかいないとか……。しかし実際に「ATOKでないと仕事ができない」というユーザーがいるのも事実。20年以上育ててきたユーザー辞書など、そう簡単には捨てられないものだ。
インターネットから生まれた「Google日本語入力」
インターネットで検索される語句や話題の人名、キャラクター名などから自動的に辞書をアップデートすることができるGoogleらしい日本語入力システム。変換エンジンはGoogleでWeb検索を行なうときに使われるサジェスト機能を元にしているらしい。ネットで話題の単語などの変換に関しては、ATOKよりも優秀だ。Googleの「20%ルール」(勤務時間の20%を自由な研究などに使えるGoogle内ルール)によって生まれた成果だとされている。
Macユーザーが育てた「かわせみ」
かつてMac専用のワープロソフトとして人気があった「EGWord」のIMとして登場した「EGBridge」を基に、変換エンジンや一部の機能を引き継いで開発されたもの。「EGBridge」そのものは発売元がソフトウェア事業から撤退したことから宙に浮いていたが、開発者の一部が独立してライセンス供与を受け、開発を続けている。Mac専用のワープロが出発点であることもあり、Macユーザーには人気のあるIMだ。
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