LINEは10日、iPhone版「LINE」において有料スタンプを友だちにプレゼントする機能の提供を終了した。同社の公式ブログで発表されたもので、App Storeを運営するAppleの要請を受けて同機能の提供終了が実施されることになったという。なお、Android版LINEでは、現在でも有料スタンプをプレゼントする機能が利用可能であり、iPhoneとAndroidスマートフォンでLINEの機能に差が出る事態になっている。本稿では、iPhone版LINEにおける同機能の提供終了の影響について考えていきたい。
今回、iPhone版LINEで提供終了となったのは、有料スタンプのプレゼント機能であり、無料スタンプのプレゼントや、自分で利用するための有料スタンプの購入は可能となっている。実は、有料スタンプを友だちにプレゼントする際と、自分用に有料スタンプを購入する場合では、購入方法が異なっていた。具体的には、自分用のスタンプを購入する場合には、1種類170円などとスタンプ自体の値段が決まっているが、有料スタンプをプレゼントする際には、あらかじめ購入しておいた「プレゼント用コイン」を使うことになり、1種類100コインなどで友だちにプレゼントすることが可能だった。
プレゼント用コインといういわゆる仮想通貨を使用する点が、自分用にスタンプを購入する場合との違いであり、この仮想通貨の使い方などがApp Storeの規約に抵触した可能性が考えられる。もっとも、仮想通貨を使うアプリは数多く存在するため、ほかに原因があるのかもしれない。
iPhoneのアプリストアであるApp Storeは、AndroidのGoogle Playストアと比較して、規制が厳しいことで知られている。App Storeを経由しない決済があるなど、App Storeの制限事項に反するアプリは申請が却下されてしまうのだ。たとえば、Amazonが提供する「Kindle」のアプリでは、Android版ではアプリ内で電子書籍の購入ができるが、iPhone版ではアプリ内では購入は行えず、ユーザーはWebブラウザでKindleのサイトにアクセスして電子書籍を購入する必要がある。
自社の利益を守るために、AppleがApp Storeで公開するアプリに制限を設けることに問題はないだろう。しかし、それがユーザーのメリットになるのか、デメリットになるのかは別問題だ。とりわけ、今回のLINEの有料スタンプ プレゼント機能の提供終了に関しては、「Appleの要請による」と説明されているだけで詳しい理由はわからない。Androidスマートフォンで利用できる機能が、なぜiPhoneで利用できないのか不透明であり、疑問に感じるユーザーも多いだろう。
5月1日に全世界で1億5,000万ユーザーを突破したことが発表されたLINEは、特に若年層から絶大な人気を集めており、LINEを使いたくてスマートフォンへ移行するというユーザーも多くいると思われる。そのような中、iPhone版だけ今回のような規制がかかり、さらに今後もどのような機能制限が行われるのか不透明な状況であれば、iPhoneではなくAndroidを選択するというユーザーもでてくるかもしれない。