端末跨りのユーザーを認識できる「Universal Analytics」

Josten氏は、今後予定されているGoogle Analyticsのアップデートについても言及した。

Googleでは、今年の6、7月を目処に「Universal Analytics」のリリースを予定している。すでにβ版が提供されており、Google Analyticsのアカウントを使って試すことが可能だ。

β版が提供されているUniversal Analyticsの設定画面(Googleアナリティクス日本版公式ブログから)

Universal Analyticsでは、Webサイト、モバイルアプリ、ゲーム機、デジタル家電など、さまざまな対象からデータを収集することができる。「各企業のサービスにログインしたユーザーであればデバイスをまたがって追跡することが可能」(Josten氏)なため、より正確にユーザー数や行動特性を把握できるようになる。

加えて、「オフラインのユーザーデータを追加し、独自の分析を行える機能も搭載される」(Josten氏)予定だ。これを活用すれば、スタンプカードなどの情報を反映させたり、ポイント報酬を管理したりすることも可能だという。

こうした技術は広告出稿においても活かされる。例えば、PCやスマートフォンに限らず、テレビやゲーム機などの利用履歴も収集し、ユーザーの趣味趣向にあった広告を配信可能になるという。投資対効果をさらに高められるうえ、これまで以上にニッチな市場を発見できるようにもなるため、特に宣伝予算の限られる中小企業に対して高い効果をもたらす機能と言えそうだ。

あくまでアクセス分析用データ! ユーザー追跡も個人は特定されない

以上のようにGoogleの分析プラットフォームはより高度な追跡を実現する方向で進化しているわけだが、ユーザーの立場で考えたときに心配になってくるのが個人情報の扱いである。個人の趣味や趣向が透かして見える「行動履歴」を収集するとなると、悪用されたときの影響は甚大と言えるだろう。

こうした問題に対して、Josten氏は次のように回答した。

「Googleでは、PII(Personally Identifiable Information : 個人の特定につながる情報)を一切保有しない。同一ユーザーと認識するためにキャッシュやCookieなどを使うことになるが、その中のデータはランダムな数字や文字列が並んでいるだけ。ユーザーの氏名やIDにつながる情報は含まれていない。Google側では、同じユーザーであることは認識できても、それが誰なのかを特定することはできない仕組みになっている」

もちろん、上記の追跡機能は、ユーザー側で無効にすることも可能だ。高度なユーザー追跡技術によりユーザーと商品/サービスのマッチング精度を高めるられるため、ユーザーにとってはより良いインターネット体験ができるというメリットがある。一方で、行動履歴などを自動で収集されることに不安を感じるユーザーも少なからず存在する。Josten氏は「Googleがそうしたユーザーへの配慮も怠っていないことをぜひ皆さんに伝えてほしい」を記者達に促した。

最後にJosten氏は、「Google Analyticsは、非常に便利で、安心して利用できるプラットフォームなので、ぜひ積極的に活用し、問題点などがあればフィードバックを送ってほしい」というメッセージを投げ、日本の中小企業に対する一層の利用を促した。