説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhoneを充電し続けたまま使うとバッテリー寿命を縮めるか?」という質問に答えます。

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iPhoneには、リチウムイオンバッテリーが内蔵されています。正確にはリチウムイオンポリマーバッテリー、ゲル状のフィルムの形をしたポリマー素材を利用しているので、一般的なリチウムイオンバッテリー(電解液が液状)に比べると、密閉容器をシンプルにできるため小型軽量化しやすいメリットがあります。

リチウムイオンバッテリーには、「メモリー効果がほとんどない」という特性があります。メモリー効果とは、バッテリーをじゅうぶん放電しきらない状態で再充電を繰り返したとき、バッテリー容量が減少したように見える現象のことで、ニッケルやニッケル水素を利用したバッテリーでよく報告されていました。だから充電のタイミングを見極める必要がありましたが、リチウムイオンバッテリーには気にするほどのメモリー効果がないので、iPhoneは放電しきらないうちに充電し始める「継ぎ足し充電」で問題ありません。

しかし、リチウムイオンバッテリーは、満充電のまま使い続けたり完全放電状態で長期間放置したりすると、エネルギーを蓄える結晶構造にダメージを受けます。ダメージが重なると、次第にバッテリーの最大容量が減っていきます。この問題を避けるため、リチウムイオンバッテリーを使うノートパソコンや携帯端末の一部には、「いたわり充電」などと呼ばれる充電量抑制機能が装備されています。

残念ながら、iPhoneに「いたわり充電」機能はありません。ですから、Lightning/Dockケーブルをつないだままの時間が長いと、満充電の状態が続きますから、それだけバッテリーの寿命が短くなると予想されます。面倒でも80%を超えたあたりでケーブルを外すことを心がければ、それだけバッテリーは長持ちしますよ。

写真で解説

ケーブルを充電状態でつなげたまま使い続けると、満充電状態が長引きバッテリーにダメージを受けます。長持ちさせたければ、バッテリー残量は20%~80%の範囲をめやすにしましょう