「トリプルショット」は「子どもショット」?

―― ZR700とZR400では、新しく「トリプルショット」モードが追加されましたね。これは通常の高速連写とどのように違うのですか?

西坂氏「トリプルショットは、名前の通り、シャッターを押すとその前後合わせて3枚を撮影するモードです。単に3連写するだけでなく、シャッターのタイミングと、その前後0.2秒のコマを同時に記録できるところがポイントです」

―― つまり、従来モデルも搭載しているパスト連写に近いのですね。

西坂氏「パスト連写の良いところを抜き出した感じでしょうか。じゃあ、パスト連写で良いじゃないかと思われるかもしれませんが、通常のパスト連写はコマ数も多いですし、画像処理の規模も大きいので、サクサク気軽に使うというわけにいかないんです」

こちらは「パスト連写」の仕組み。実際にシャッターを切ったタイミングは、ピンク地と白地の境目。ピンク地部分の画像は半押し時にキャッシュされていたもので、シャッターを切った時点でSDカードに保存される。そして、この中からベストな1枚を選べるというわけ。画像はEZ-ZR300のイベントレポート記事より

―― 撮った後「処理中です」っていう表示が出ますよね。

西坂氏「そうです。サクサク撮れないと、やっぱりストレスが溜まりますよね。そこで、記録できるコマを3コマに制限することでサクサク感をキープし、軽快ながらパスト連写の便利さと面白味が入った撮影モードを作りました。

ただ、『トリプルショット』というネーミングでは、使いどころが分かりにくいかもしれないと思っていまして…。トリプルショットは、開発中に『子どもショット』と呼ばれていたのですが、これがまさに想定した使い方です」

左からトリプルショットの1コマ目、2コマ目、3コマ目。「当たりのコマは狙ったコマだけではない」ことを、トリプルショットは教えてくれる。この場合、最後のコマが狙ったコマではあるが、最初の目をつむった写真がいいという見方もある。作例はZR700のレビュー記事より

西坂氏「子どもって、大人が予想しない動きや表情をしますよね。だからこそ、シャッターのタイミングが難しい。ここぞと思った瞬間ではほんのちょっと早すぎたり、遅すぎたり…。

それと、これは撮り手の年齢にもよるのですが、一般的に歳を取ると反応速度が鈍くなります。でも、トリプルショットは、シャッターを押した瞬間の0.2秒前のコマも記録しますから、撮りたかった瞬間を撮れる確率が高くなる。トリプルショットは、撮り手のタイムラグも吸収してくれる撮影モードなんです」

―― 私も使わせていただきました。面白いと思ったのは、連写したコマを見ていると、狙っていなかった「偶然の当たりコマ」があることです。これは新たな発見ですね!

「EX-ZR4700」(写真左)、「EX-ZR700」(写真右)

西坂氏「そうなんです。あっ、こっちの写真も良い表情だなぁ!って。自分が狙っていなかったところに、予想外の当たり写真がある。高速連写ならではの楽しみのひとつですね。その予想外の当たりがあることを期待して、ワクワクするんです。一般的にはボツ確定な半目状態とか、ポカン口とか、そんな写真も子どもだとすごく可愛い(笑)。どんな面白い表情が撮れているだろう、というワクワク感もトリプルショットの魅力です」

―― 確かに「子どもショット」ですね(笑)。あと、動く被写体を連写すると、瞬間的なポーズや髪の流れを躍動感たっぷりに撮れるんです。これも楽しい。

西坂氏「そこに気付きましたか。さすがですね(笑)。女の子が振り返ったときに、長い髪がパーッと広がったシーンなんて、撮りたいと思ってもなかなか撮れませんよね。そんなプロのような写真が、トリプルショットなら撮れてしまう。いつもとは違う撮り方をしてみて、どんどん楽しんでいただけると嬉しいですね」