カシオのEXILMと言えば、最大1,000fpsのハイスピードムービーや秒間30枚の高速連写が可能なハイスピードエクシリムを思い浮かべる方が多いだろう。そのコアとも言えるZRシリーズに2台の新モデルが投入された。

ここで紹介する「EX-ZR400」(以下、ZR400)は光学12.5倍ズームレンズを備え、1回の充電で約515枚の撮影ができるというシリーズ最長のバッテリ寿命を持ったモデルだ。もう1つの「EX-ZR700」については、レビュー記事『実用性抜群の光学18倍ズームとトリプルショットが楽しい - カシオのコンパクトデジタルカメラ「EXILIM EX-ZR700」』を参照いただきたい。

「EX-ZR400」

2013年3月上旬の時点で、ZR400の実売価格は30,000円前後となっている。一般的にこの価格帯のコンデジは高画質指向のモデルが目立つが、本機がまずこだわったのは快適さである。約0.99秒でカメラが起動、AFの合焦速度は0.14秒、シャッターを押してから撮影されるまでのタイムラグが0.015秒、次の写真が撮れるまでの撮影間隔が0.26秒と、何をするにも待たされない。

その秘密は画像処理エンジンにある。「EXILMエンジンHS Ver.3」と名付けられた画像処理エンジンは2個のCPUを同時に動かすデュアルコアCPUだけでなく、画像処理プロセッサも2個搭載。さらにハードウェアの構成を目的に応じて動的に変えられる「リコンフィギュラブルプロセッサ」などの仕組みも備えており、デジタル処理速度を画期的に高速化している。このエンジンを活かして、ZR400には数々の新機能が追加されているわけだ。

本体をながめる

ZR400の本体カラーは、ピンク、シルバー、ホワイトの3色である。もっとも落ち着いた雰囲気をかもし出すのはシルバーで、表面はキズが目立たない「梨地(なしじ)」仕上げになっている。右側のグリップ内側には滑り止めの素材が貼られ、持ちやすい。

本体は面取りがしてあり、これで12.5倍ズームとは思えない厚みに仕上がっている。一眼レフのダブルズームキットに匹敵する画角を持っているため、本機だけで何でも撮れる万能タイプと言える。さらにデジタル技術を活かして超広角14mm、360度パノラマ、各種アートショット、HDRアート、フォーカスコントロールなど、かゆいところに手が届く機能を満載した。それでは早速、新機能を中心にその魅力を検証してみよう。

前面は曲線を巧みに使ったデザインで金属の質感が伝わる高級な仕上げだ。本体サイズはW104.8×H59.1×D28.6mm、重量は約205g(電池、メモリーカードを含む)。撮像素子は1,610万画素、1/2.3型CMOS(裏面照射型)

レンズは24mm~300mm(35mm換算)で、開放絞り値はF3.0~5.9。光学ズーム12.5倍、プレミアムズーム併用時で25倍と、ほとんどの被写体をカバーできる。マクロ最短撮影距離は約1cmとなる

上面には連写切替ボタン、電源ボタン、ズームレバー、シャッターボタン、モードダイヤルとシンプルな構成だ。動画の録画ボタンは液晶モニタ面に設けられている

モードダイヤルには、新たにトリプルショット、フォーカスコントロールが加わり、10種類のモードを素早く切替られるようになった

液晶モニタ面もシンプルな構成だ。ボタンはすべて金属製で高級感がある。3.0型46万画素の高精細液晶を採用している

新機能として、撮影後の画面を右下に小さく表示する「ミニレビュー表示」が追加された。撮影後に再生画面に切り替わらないため、スナップがサクサクと快適に撮れる

画面のインタフェースはサークルを回転させるようなデザイン。これは「EX-ZR1000」のファンクションリングに合わせて作られたものだろう。ZR400はコントロールボタンを押して選択するため、やや違和感があったが、慣れてしまえば問題ない

電源は1,800mAhのリチウムイオンバッテリ。特に大型には見えないが、これで約515枚撮れる。さらにエコモードを選択すれば約640枚となり、日帰り旅行で電池がなくなる心配はまずないだろう

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