2012年9月の発売以来、女性に人気が高いカシオ計算機のコンパクトデジタルカメラ、EXILIM「N1」。CMFデザイン(*)の考え方をベースに、ディテールにもこだわってデザインされたモデルとしても話題だ。シンプルながらも陶器のような高い質感に、丸みを帯びたキュートなデザインが目を引く。

(*)CMFデザイン
モノを構成する要素である「色(Color)」「素材(Material)」「仕上げ(Finishing)」。この3つの要素をすべてシンクロさせて、魅力的なデザインとして昇華させる手法、考え方。

そして2013年2月、カシオ公式オンラインショッピングサイト「e-casio」のスペシャルライン「SELPOI(セルポア)コーナー」にて、このEXILIM「N1」と「FEILER」(フェイラー)のコラボモデルがWeb限定で発売された。

「FEILER×EXILIM」オリジナルコラボレーションモデル・ポーチ
(セット価格:24,800円税込)

FEILERは、今年で65周年を迎えるドイツ伝統工芸織物「シュニール織」のブランド。柔らかな質感と高い吸水性、美しい花柄のデザインで、日本では女性を中心に親しまれている。

N1とのコラボレーションにまつわる経緯やコンセプトなどについて、FEILER広報室の吉野陽子氏、企画部の尾島京子氏、営業開発部の畑中健児氏、カシオマーケティングアドバンスNET推進室の小石史子氏にお話を伺った。

―― SELPOI(セルポア)ではオリジナル商品を多く販売されていますが、その企画の基準はどのようなものなのですか。

カシオマーケティングアドバンスNET推進室の小石史子氏

小石氏「『セルポア』はフランス語で塩コショウという意味があります。遊び心や個性のスパイスをカシオの製品に効かせ、楽しくおしゃれに持てるものを作るという視点で展開しているのが、セルポアオリジナルモデルです。プリントやデコ加工を施した、オリジナルデザインモデル、アパレルブランドさんとのコラボモデルを柱にしており、FEILERさんとの企画もこうした過去の経験を踏まえて実現されました」

―― コラボレーションはどのような流れで決定したのですか?

小石氏「以前に、カシオの電子辞書『EX-word』(エクスワード)でのコラボをお願いしたことがあったんです。学生向けの印象が強い電子辞書ですが、大人にも便利ですし、ユーザー層も広がっています。大人の女性を想定して、その層に強いブランドを考えた時にFEILERさんとなりました。柄をプリント加工した電子辞書と専用ポーチのセットなら『おそろい感』もありますし、ショップのコンセプトにも合うのでお声がけさせていただきました」

コラボデザインの電子辞書「FEILERコラボレーション スペシャル電子辞書・ポーチセット」

ふわふわとした質感が心地良いFEILERのハンカチ。こちらは「パルテール」柄

吉野氏「FEILERは、ドイツの伝統工芸であるシュニール織の高い品質と芸術的な美しさで、幅広い年代の方にご愛顧いただいているブランドです。すべての柄に名前とストーリーがあり、単なる製品にとどまらず、こうした文化的背景やストーリーも含めて、お客さまにライフスタイルをご提案しています」

畑中氏「このブランドとそこに込めた想いを、もっと広く知っていただくにはどうすべきかと考え始めていた頃でしたから、本当にありがたいお話でした。カシオさんは誰もが知る電子機器メーカーですし、コラボレーションが実現すればFEILERの認知度も高まるのではないかと」

小石氏「より広い層に向けたカメラでも何かできないかと考えていた矢先に、N1が発売されまして。シンプルながら美しいホワイトに花柄を散りばめれば華やかにもなるということで、すぐにポーチとセットで作りたいと、FEILERさんにお願いに行きました」

左から、FEILER広報室の吉野陽子氏、企画部の尾島京子氏、営業開発部の畑中健児氏

―― デザイン面についてお聞きします。多くの柄から「リアローズ」を選ばれた理由や、配置などで工夫された点はありますか。

尾島氏「お話を聞いた時、小さい場所で効果的に表現するなら小花柄がベストだと考えまして、年代を問わず特に人気が高い『リアローズ』をご提案しました。FEILERの柄にはすべて名前とストーリーがあるんですが、リアローズは『一面に咲く小さなバラが楽しく語り合う情景』を描いています。女性ってそういうかわいらしい小花の雰囲気が好きですしね。ピンク色にときめく気持ちがあるというか」

花柄のポーチとセットになった「EXLIM EX-N1」コラボモデル

吉野氏「女子力アップですよね!」

尾島氏「そういう意図も含めて(笑)。リアローズ柄は、実はL(大)とS(小)という2つがあるので、カメラにはSとLを交互に散りばめました。小さな花の配置を企画スタッフ全員で話し合い、すっきり見せられるよう何度も調整しました」

小石「印刷スペース(編注:カメラの表面積)が少ないので、配置が難しいんです。『取った方がいい』と修正されたデザインを見ると、確かにそのほうが素敵なので、FEILERさんのこだわりはすごいなと思いましたね」

リアローズの模様の位置や、シュニール織の質感の再現にはかなりの検討を重ねている

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