CPUクロックは低めでもバランスの良いトータル性能で実用性は十分

Radiant SPX2100NUCは、主にIntel DC3217IYEのNUCモデルをベースに、SO-DIMMやSSD、無線LANカードを追加することで、PC製品として仕上げている構成だ。BTOメーカーのサイコムのこと、カスタマイズ性は高いが、ただし、NUC自体が内部に拡張スペースをほとんど持たないため、同社の他のPCと比べるとカスタマイズ可能なハードウェア項目は多くない。逆に言えば、初心者でもかなり「選びやすい」BTO PCとなっている。

そのうえで、サイコムでNUCを選ぶ理由となり得るのが、豊富なオプションだ。まず、通常は光学ドライブを持たないNUCでは、DVDメディアからのソフトウェアのインストールに際し、USBを活用するしかない。そうした際に、本製品を購入時に選べるUSB外付け光学ドライブ「DVRP-U8VK」(アイ・オー・データ機器)が便利だ。ポータブルタイプのDVDドライブで、NUCと組み合わせてもコンパクトに収まり、不要な際は外しておくこともできる。ほか、キーボード、マウスやディスプレイといったものから、HDMIケーブルやマウスパッドのようなサプライまでオプションが豊富に用意されている。

ソフトウェアでも、OSならWindows 8はもちろんひとつ古いWindows 7も各グレードが揃っており、64bit/32bitが選べる。オフィスソフトも、次期Office無償アップグレードに対応したMicrosoft Office 2010がPersonal、Home & Business、Professionalと3つのグレードから選択可能で、つい先日にOffice 2013も選択可能になった。そしてセキュリティソフトも、店頭販売されるPCのように、バンドルすることができる。

必要に応じてOSやオフィスソフト、セキュリティソフトを選べるのもポイント

そして、使い続けていく上で安心なのが有償延長保証だ。サイコムのBTO PCならプラス4,000円で2年間の延長保証が得られる。製品自体に1年の無償保証が付くため、合計すると3年間保証となり、かなり現実的な期間の保証が得られる。

延長保証は、PCに対して付与されるため、ここがパーツ単位での購入と大きく異る

では今回、実際に試す実機のBTO構成を紹介しよう。CPUやマザーボード等は先のとおりとして、メモリを8GBに増強、Windows 7 Professional 64bit版を搭載したカスタマイズモデルで、同構成での本稿執筆時点での直販価格は69,190円となる。

今回の構成は、基本構成に対しメモリを増強、OSにWindows 7 Professional SP1 64bit版を加えて69,190円

まずWindowsエクスペリエンスインデックスは、プロセッサが6.2、メモリが7.2、グラフィックスが5.9、ゲーム用グラフィックスが6.4、プライマリハードディスクが7.9という内容だ。統合グラフィックス機能を利用しているため、グラフィックス関連の2つは低めのスコアになっているが、そのほかは総じて高めのポイントだ。

ほとんどの項目が6ポイント以上。メモリやプライマリハードディスクは7ポイントを超えている

グラフィック機能がどれほどのものかをもう少し見ていくと、3DMark 11がP591、3DMarkのIce Stormが29146 3DMarks、同Cloud Gateが3233 3DMarks、同Fire Strikeが471 3DMarksとなった。スコアから見ると、DirectX 9世代ゲーム(のグラフィックス負荷の低いもの)あたりまでがようやく楽しめる程度だが、低スコアなりにもDirectX 11が動くというほうがポイントだ。Windows 7や8ではDirectXをデスクトップGUIにも活用しており、その点でより古い世代のGPUなどと比べると高速化やより綺麗な描画が期待できる。

3DMark 11はP591。DirectX 11の3Dゲームを楽しむにはキビシイ

3DMarkも完走。DirectX 9相当のIce Stormならまずまずのスコア

次にCPU性能を見るためにCINEBENCH R11.5のスコアを見ていこう。マルチCPU時のスコアは1.8ポイント。Core i3-3217Uは、2コアながら4スレッド処理ができるものの、動作クロックは1.8GHzと低めであり、3GHzを超えるデスクトップCPUなどと比べるとやや低めだ。シングルCPUも、0.76ポイントとこちらもTurbo Boostに非対応である点が影響し平凡なスコアとなった。ただし、ウェブサイトの閲覧や動画の視聴、ビジネス文書の作成といった日常作業であれば十分すぎるパフォーマンスと言える。

2コア、4スレッドとまずまずのコアを採用しているが、動作クロックは低く、Turbo Boostにも対応しないため、1.8GHzなりのスコアに留まる

ストレージ性能テストとして行ったCrystalDiskMarkは、シーケンシャルリードで482.3MB/secを記録し、ほか、512K、4KQD32のリードもまずまず高速だ。こうしたストレージパフォーマンスの高さから、デスクトップ描画のレスポンスはかなり快適だ。ライト性能は、およそリードの半分程度になるが、HDDと比べると断然速い。128GBモデルを利用したが、空き容量はおよそ80GBだ。動画を貯めていくと結構あっさり消費しつくしてしまうため、データ領域としてNASなど他のストレージデバイスを活用したい。

リード性能は現行世代SSDのもの。ライト性能は若干低くなるが、HDDと比べると小気味よいレスポンス。ストレージ性能の高さから、普段使いに関してはかなり快適だ

次ページPCを意識させないレイアウトができる