東京工芸大学は、音楽を聴くことが好きな12歳~39歳の人々を対象とした「ボーカロイドに関する調査」の集計結果を公開した。実施期間は2013年1月28日~1月30日。調査方法はモバイルリサーチ(携帯電話によるインターネットリサーチ)。有効サンプル数は1,000名。調査の実施機関はネットエイジア。

嗜好別に集計した「音楽を作ること(※編曲も含む)が好きか」という質問の結果を示すグラフ

同調査では、歌声合成ソフト「ボーカロイド(VOCALOID)」について多面的に取り上げており、"DTMソフトウェアとしてのボーカロイド"についても、調査対象に複数の質問が投げかけられている。「音楽の演奏と作編曲」についての質問では、「音楽を演奏すること」が「好き」と回答した割合は45.4%、「音楽を作ること(※編曲も含む)」では20.4%。音楽の作編曲を好む割合は、ボーカロイド曲を好む層(29.3%)や動画共有サイトの閲覧を好む層(21.4%)、ソーシャルメディアでの発信を好む層(26.6%)などで高くなる傾向がみられた。この結果を受け、同大学は、「動画共有サイトなどに投稿されたボーカロイド曲をきっかけに、"自分も音楽を制作して発表したい"と制作意欲を喚起されたためか、音楽をより能動的に楽しむようになったことがうかがえる」と分析している。

また、作編曲に関連する機能やソフトウェアについて、利用経験と今後の意向を聞いたところ、「携帯電話の着メロを作成する機能やソフト」では「使った経験がある」が20.5%と2割に届いたが、「その他の音楽制作・編集ソフト・アプリ」では、利用経験率は1割以下となったため、同大学は「まだまだ音楽編集ソフトなどの利用が拡大しているとは言えない状況」としながらも、「DAW/DTMソフト(音楽編集・作成ソフト)」に「経験はないが、今後挑戦したい」と回答した人が23.3%、「ボーカロイドソフト(歌声合成ソフト)」では25.1%と、およそ4人に1人の割合となったことから、「今後挑戦してみたいと考える人は多いようだ」と付け足している。ボーカロイド曲を好む層に絞るとこれらの利用経験、挑戦意向は高まったため、「ボーカロイド曲が音楽制作に興味を持つ入り口になっていることがうかがえる」とも付記している。

DAW/DTMソフト(音楽編集・作成ソフト)の利用経験・意向

ボーカロイドソフト(歌声合成ソフト)の利用経験・意向

加えて、作編曲に関する質問の中でも、スマートフォンやタブレット端末の音楽編集・音声合成アプリについての質問では、「経験はないが、今後挑戦したい」とする割合が他の項目よりも高かった。「スマートフォン・タブレット端末の音楽編集アプリ」では32.3%、「ゲーム感覚で音声の合成ができるアプリ」では32.5%と、およそ3人に1人の割合で挑戦したいと考えているようだ。同大学は、この結果に関して「直感的に操作できるアプリや、ゲーム感覚で音声の合成を経験できるアプリなどによって、制作に参加する敷居を低くすることで、今後、音楽制作を楽しむユーザーが増えていく可能性が窺えました」とコメントしている。

スマートフォン・タブレット端末の音楽編集アプリの利用経験・意向

そのほか、全回答者(1,000名)に対して「気に入った無料コンテンツ制作者に対して、少額のお金を寄附してもいいと思うか」という質問を投げかけたところ、56.5%の回答者に寄附の意向があることがわかった(内訳は「積極的に寄附したいと思う」が4.5%、「寄附をしてもいいと思う」が52.0%)。ボーカロイド曲を好む層では寄附の意向が77.6%とより高くなっている。

「気に入った無料コンテンツ制作者に対し、少額のお金を寄附してもいいと思うか」という質問に対する結果のグラフ

なお、同調査ではボーカロイドを「キャラクター」や音楽のジャンル(ボカロ曲)という側面から捉えた場合のアンケート結果も公開している。