キャッシュ(Cache)

我々には直感的に理解できない単語が用いられることが多いコンピューターの世界。新たに登場するWindows 8を踏まえつつ、Windows OSで用いられる単語(=キーワード)を個別にピックアップし、詳細な解説をお送りしよう。今回取り上げるキーワードは、コンピューターのパフォーマンスを向上させる際に用いられる「キャッシュ」を紹介する。



Windows 8キーワード一覧

Windows 8キーワード - 「ウィンドウ」とは
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「SkyDrive」とは
「サインイン」「サインアウト」とは
「プロパティ」とは
「アクセス制御リスト」とは
「アカウント」とは
「ユーザーアカウント制御」とは
「アイコン」とは
「デバイス」とは
「パス」とは
「ボリューム」とは
「共有フォルダー」とは
「ホームグループ」とは
「カーネル」とは
「プライベートネットワーク」とは
「レジストリ」とは
「ピン留め」「ジャンプリスト」とは
「デスクトップ」とは
「タスクバー」とは
「エクスプローラー」とは
「Windowsストアアプリ」「デスクトップアプリ」とは
「チャーム(Charm)」とは
「スタート画面(Start Screen)」とは
「タイル/ライブタイル(Tile/Live Tile)」とは
「アプリバー(App Bar)/ナビゲーションバー(Navigation Bar)」とは

「キャッシュ(Cache)」

使用頻度の高いデータを事前に蓄えることで、いち早く処理を終えるための仕組みを指し、同ロジックを備える仕組みを「キャッシュシステム」と称する。一般的なコンピューターでは、HDD(ハードディスクドライブ)よりもSSD(ソリッドステートドライブ)や、コンピューターの物理メモリとして搭載するDRAM(Dynamic Random Access Memory)の方がアクセス性能が高い。そのため、コンピューターの全体的なパフォーマンスを向上させる際に欠かせない機能となる(図01~02)。

図01 キャッシュシステムの概要(同システムがあるケース)

図02 キャッシュシステムの概要(同システムがないケース)

冒頭ではHDDやDRAMに代表されるメモリを用いたキャッシュシステムを例に挙げたが、データ転送元と転送先に駐韓し、データ全体もしくはその一部を保持するシステムは多岐にわたり枚挙にいとまがない。例えばコンピューターの核となるプロセッサには高性能化に伴い複数のキャッシュを内蔵し、HDDにもデータのI/O処理にタイミング的な差が生じると、その差を吸収するため一時的にデータをバッファリングする「バッファ」を備えるのが一般的だ。

Windows 8では「インターネット一時ファイル」という呼称でWebブラウザーのキャッシュシステムを>搭載し、IPアドレスドメイン名を対応付けるDNSサーバーへの参照(リゾルバー)をキャッシングする「DNSリゾルバーキャッシュ」、共有フォルダーがオフラインでも利用できるようにクライアント側にキャッシュを作成する機能など、数多くのキャッシュシステムを利用している。Windows XPから搭載されたプリフェッチ、Windows Vistaのスーパープリフェッチ機能もキャッシュシステムの一種と述べて構わないだろう(図03~04)。

図03 Internet Explorerの「インターネット一時ファイル」もキャッシュの一つ

図04 共有フォルダーの詳細設定にも、クライアント側でキャッシュシステムを構築する設定項目が用意されている

ユーザーの体感速度に大きな影響を与えるキャッシュだが、Windows 8においてはチップセットの仕様が許す限り、搭載可能な物理メモリを搭載するのが一番の得策である。希望する方はお使いのコンピューターに付属するマニュアルなどを参考に、物理メモリの増設を行ってほしい。

阿久津良和(Cactus