シャープは2月13日、コードレスサイクロン掃除機の新製品「EC-DX100」の記者発表会を開催した。EC-DX100の価格はオープンで、推定市場価格は7万円前後。2月下旬に発売される。

シャープ・コードレスサイクロン掃除機「EC-DX100」。2012年11月に発売された同社の軽量サイクロン式掃除機「EC-QX310」をひと回り大きくしてコードレス化したようなデザイン

「有職主婦の増加や高齢化社会、単身世帯の増加といった日本の社会環境の変化により掃除機に求められるものも多様化してきている。もっと手軽で簡単、時短といった新たなニーズに新製品で対処したい」と語る、シャープ・健康・環境システム事業本部ランドリーシステム事業部長の阪本実雄氏

新製品はコードレスタイプのサイクロン掃除機として同社が初めて市場に投入する新しいラインナップの商品。同社は2000年に国内メーカーとして初めてサイクロン掃除機を発売し、以降静音化や自動お掃除機能などの改良を重ね、2010年には軽量・コンパクトサイズのサイクロン掃除機、2012年にはロボット掃除機「COCOROBO」を発売してきたが、今回は電源コードをなくし、バッテリー駆動するキャニスター型サイクロン掃除機を開発した。キャニスター型のサイクロン掃除機は、2001年に他社が既に発売しているものの、パワー不足や駆動時間が難点となり、市場からは姿を消している。

そこで今回、この問題を解消するべく、同社のロボット掃除機で培ったバッテリー技術を応用。サイクロン掃除機の本体内部にロボット掃除機で使われている大容量リチウムイオンバッテリーを組み込み、約4時間の充電で最長約46分間の運転を可能にした。1畳を15秒程度で掃除すると仮定した場合、1回の充電で掃除が可能な部屋の広さとしては、180畳相当が目安だとしている。

断面で見る本体の内部構造。重量は3.5kgで、「EC-QX310」からバッテリー分が重くなった印象

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また、バッテリー駆動時間を延長するための機能として「自動エコモード機能」と「リザーブ機能」を搭載。自動エコモードはヘッドを持ち上げると運転を自動で停止したり、床の種類に応じてパワーを制御する、いわゆる節電モード。これに加え、リザーブ機能はバッテリー切れの場合にも手元の強/弱スイッチの長押しで弱運転で5分程度の運転を可能にし、「あともうちょっと掃除したい」という時に安心な機能だ。

さらに、リチウムイオンバッテリーの搭載は、バッテリーの長寿命化にも一役買っている。仕様上の充電可能回数は約1,000回で、フル充電を繰り返した場合の寿命は約3年を想定しているとのこと。以降の使用はバッテリーの交換で対応するとしており、現状の価格は15,000円程度を想定。ただし、電気自動車などへの普及が進みつつあることで、バッテリー価格は下落傾向にあり、実際には市場価格に合わせて交換費用も低めに抑えられるのではないかと考えていることを明かした。   一方、コードレス掃除機のもう1つの課題となる吸引力の解消には、高効率SRモーターを業界で初めてコードレスタイプの掃除機に採用した。電気自動車にも搭載されている高出力の小型・軽量モーターで、部品に永久磁石やブラシが使われていないことから、温度変化や摩耗による劣化を防ぎ、安定した回転を持続する効果もあるとしている。

採用された高効率SRモーター(左)と従来のモーター(右)。軽量・小型ながら高出力でコードレスながらハイパワーの吸塵力を実現

吸塵能力を表す吸込仕事率は、2012年11月に発売された同社のサイクロン式掃除機「EC-QX310」と同等の性能とのこと。最大300W程度となり、集じん容積0.25Lクラスの他製品と比べてみてもコードレスだからと言って遜色のない仕様だ。

その他、「ロング伸縮ブラシ」を本体に装備。付属品の交換ではなく、延長管部分に常時装備していて、コンパクトに一括収納できる点が特徴。付属の「肩かけベルト」を本体に取り付けて使えば、高い場所や階段などでもスムーズに使用でき、コードレスの利点を活かした多様な掃除スタイルが可能になる。

付属のショルダーストラップを装着した肩掛けスタイルでのお掃除の実演。電源がない自動車内の掃除にも有用

ロング伸縮ブラシを使用した高所のお掃除のデモ。ヘッドを取り外し、延長管ぁら延ばして使用できる。内部の電線の本数を減らすことにより、ホースのスリム化と柔軟性が図られている

また、COCOROBOで搭載している人工知能「ココロエンジン」を採用。フィルターの目詰まりやゴミ捨て、バッテリー容量の低下などを声で知らせてくれる。

充電スタンド。約4時間の充電で最大46分の連続運転が可能だ

「EC-QX310」と同じ構造で、モーター駆動のパワーヘッド

お手入れは、本体上部のフィルターお手入れレバーを解除すると、ダストカップが簡単に引き出せる。サイクロン部分の構造も簡略でメンテナンスが容易

スイッチ部分。「EC-QX310」を踏襲。フィルターお手入れサインがなくなった代わりに、音声で知らせてくれる

充電・収納時(左)の設置例。本体幅18.9cmの薄型で、縦型クリーナーと従来のキャニスター型掃除機の中間のような印象。部屋の隅に置いておいてもそれほど邪魔に感じないので、縦型クリーナーのように気軽に使えそうだ