2013年1月29日/30日の二日間、東京ビッグサイトで「イベントJAPAN2013」が開催された。企業のイベントを盛り上げるための製品やサービス、取り組みなどを紹介する催しで、カシオブースではデジタルサイネージの新製品「カシオサイネージ」が展示されていた。

カシオサイネージは、形状カットしたパネル(スクリーン)と小型プロジェクターを組み合わせたデジタルサイネージ機器。法人向けの製品で、販売価格は1パッケージ90~100万円前後を予定している。

カシオブースでは、法人向け小型サイネージ製品の「カシオサイネージ」を紹介していた

カシオサイネージの特長

プロジェクターの映像を投影するパネルは、ユーザー素材(静止画像と文字データ)をもとにカシオが作成する。静止画から作成した人間や動物、製品キャラクターなどを喋らせることで、インパクトの強い広告・告知が可能になる。製品前面には4つのセンサースイッチを搭載。これによりパネルに映し出されたボタンのタッチ操作にも対応する。

プロジェクターの映像を投影するパネルはユーザー素材をもとに作成。キャラクターがリアルに喋る映像コンテンツにより、インパクトの強い告知を実現する

製品前面にはセンサースイッチを搭載(写真右)。これにより、パネルに映し出されたボタンのタッチ操作に対応する

日本語以外に、現在では最大4言語(英語、スペイン語、中国語、韓国語)の音声切り替えが可能。例えば銀行の店頭に本製品を設置しておけば、外国人にも窓口への誘導やサービスを案内できる。センサースイッチによる操作は、階層の設定にも対応する。

ブースでは行われていたデモの1つは、薬局の店頭に設置したケースを想定したもの。美容 / 健康 / 食生活 / 身体の4択から「美容」を選択すると、美容に気を使う / 若々しくありたい / 妊娠中 / 戻るの選択肢が表示され、続けて「妊娠中」を選択するとおすすめのサプリメントが紹介された。

このように目的に応じて項目を絞り込んでいけるので、消費者に最適な商品・サービスを紹介したい小売店などで有効に活用できる。受付やサービススタッフの業務の一部を担えれば、人件費の抑制も実現できるだろう。

消費者に最適な商品への誘導や、新商品・新サービスの紹介に利用することができる。受付やサービススタッフの業務の一部を担えば、人件費の抑制にもつながる

カシオサイネージの本体前面には、スマートフォンのNFC機能に対応するチップを内蔵する。NFCに対応したスマートフォンをかざすことで、ポイントサービスやクーポンなどを配布できる仕組みだ。これにより、店舗側が来店者への特典を用意することが容易になる。カシオでは、カシオサイネージ向けのクラウドサービスも提供する予定。

デモの様子。筐体の前面にNFC対応スマートフォンをかざすと、10%割引のクーポンが発行された(写真右)。飲食店などの店舗に設置すれば、来店者特典を用意することができる

導入例と課題

カシオブースで担当者に話を聞いたところ、開始したばかりの事業ながら、米国では既にハンバーガー店などで導入され始めているという。店頭に設置したショップでは「待ち時間に遊んでもらえる」「メニューの紹介ができる」などと好評で、集客にも結びついているとのこと。

また、国内での反応にも手応えを感じつつある。「キャッチ効果があるため、メーカーさんからは新製品のプロモーションに利用したい、とのお声をいただいた。イベントの企画を行う方にも興味を持っていただけている。そして"街おこし"などの地域振興を考えている自治体さんからも引き合いがある。観光案内所などに設置し、ゆるキャラに喋らせてみる、などの面白い案も出ている」と担当者は話す。

幅広い用途での利用が期待されているカシオサイネージ

いっぽうで課題は、本体の大きさ。カシオサイネージの本体サイズは約W458×D536×H187mmで、重量は約19kgある。大型スクリーンにも投影できるスペックのプロジェクターを内蔵しているため、このサイズになっているという。

きょう体の約8割をプロジェクターが占めており、残りのスペースはスピーカー、メディアプレイヤー、NFCチップなどに割り当てられている。本体サイズについては検討が重ねられているそうで、「次期製品ではもっとコンパクトにできる」(担当者)との話だった。

プロジェクターの映像を近距離のパネルに投影させるため、ミラー反射を利用している。光源方式はレーザー&LEDハイブリッド光源で、光源寿命は実に約20,000時間。色再現性はフルカラー(約1,677万色)

また、「液晶モニタによるサイネージ製品は市場に普及したため、インパクトが弱まってきている。より印象的な、消費者を引きつけるコンテンツを打ち出せる製品ということで開発されたのが、カシオサイネージ。他の広告と差別化を図れる長所を訴求しつつ、今後も製品展開を進めていきたい」とアピールしていた。