出会い系としてのLINE

マーケティングとプロモーションの巧さで大成功したLINEだが、一方で忘れてはいけないのが"出会い系アプリ"としての側面がある程度スタートダッシュに寄与したのではないかという点だ。

App Storeに登場するやいなやランキング1位を獲得し、爆発的にユーザーを増やしていったLINE。しかし、リリース当時からしばらくの間、App Storeのレビュー欄はLINEを通じての出会いを求めるユーザーによる"ID晒し"の書き込みで埋まっていた(これはLINEだけでなく、カカオトークでも同様である)。

また、LINEがヒットしていくにつれて、自分のIDを書き込んで友だちを募集する掲示板サイトなども乱立するようになった。

むろん、運営側がそれを容認したわけではなく、むしろアングラなイメージがつくのは諸刃の剣だろうと思うのだが、他方で「出会える"かも"しれない」という期待感がサービスを一気に浸透させるパワーを持っているのも事実だ。

あのFacebookにしても、当初はハーバード大学のエリートたちと、彼らと知り合いたい女性をつなぐための出会い系サイトだったことはよく知られている。

コミュニティ系のウェブサービスにおいて、ゼロから人を集めるのは非常に難しい。軌道に乗るまでのガソリンとなるのは、いつの時代もこうした生々しい欲望なのだ。

LINEのこれから

1億ユーザーを達成し、欧米市場への本格進出を狙うLINEだが、その道は決して平坦なものではない。欧米では未だ最強のSNSであるFacebookが立ちはだかっているし、スタンプ一つにしても日本とは異なるセンスを持つ市場を開拓するのはなかなかに困難だろう。

1月18日のユーザー数1億人達成イベントでは本格的な欧米への進出が表明された。写真は握手を交わす森川社長と舛田執行役員

一方で、国内では約4100万アカウントを抱え、そろそろ天井が見えてきた感がある(ある程度重複しているので差っ引いて考えても、だ)。

しかし、だからといって安泰とはいえない。Yahoo! Japanと連携したカカオトークはもちろん、DeNAがリリースした「comm」など、LINEの成功でVoIP分野の可能性に気づいた企業が猛追してきている。

どれだけ先行していてもあっさりひっくり返される可能性があることを一番わかっているのは、当のNHN Japanだろう。

国内外ともに、2013年がLINEにとって本当の正念場となる。

(記事提供: AndroWire編集部)