パナソニックは、北米市場において理美容商品を強化するとともに、日本市場では展開していない調理小物製品群の「BREAKFAST(朝食)シリーズ」を投入することを発表した。これにあわせて、米ラスベガスで開催しているInternational CES 2013の同社ブースに、初めて白物家電製品を展示。テレビメーカーとしてのイメージが強かった北米市場において、同社の新たなブランドイメージ展開に乗り出す姿勢を示した。

International CES 2013のパナソニックブース

パナソニックは、これまでにも北米市場において、電子レンジ、調理小物、掃除機、理美容関連製品、ヘルスケア製品を展開してきた経緯がある。2013年からは、理美容製品においては、これまでのメンズシェーバー、脱毛機、レディースシェーバーなどに加え、新たにナノケアドライヤーやナノケアヘアアイロンなど、同社独自の付加価値を持ったヘアケア商品群を投入。日本と同様に、北米においても「Panasonic Beauty」による群展開を打ち出す。また、既存の販売ルートに加えて、美容商品専門店などの新たな販路開拓にも取り組む。

同社では、「ドライヤーは、日本やアジアではワット数が低く、ハンドルを折り曲げて収納できるタイプが主流だが、欧米では2,000Wの大容量タイプで、ハンドルが折り曲がらない、大きいサイズが主流。こうした市場に対して、付加価値をつけた商品を展開していくことになる。ナノイーなどの当社ならではの技術も訴求していきたい。また、レディースシェーバーでも、我々の強みを生かした新たな価値を提案していく。単にドライヤーだけで訴求するのではなく、パナソニックの様々な製品を束にしたり、Panasonic Beautyという塊で、展開していくことが必要である」とする。

北米におけるドライヤー市場は、年間2,000万台規模と想定しているが、「シェアを追うのではなく、これまでにない市場を作り上げたい。パナソニックの理美容分野において、新たなものを提供するメーカーであるという位置づけを担いたい」としており、2013年に北米市場で50億円程度の売り上げ規模を目指す。

現在、アプライアンス事業全体に占める理美容製品の売り上げ構成比は約10%。だが、エアコンや冷蔵庫、洗濯機といった主力の白物家電製品に比べても利益率は高いという。「Panasonic Beautyは、日本において、何かよいものを出してくれる、あるいは面白いものを出してくれるというイメージが広がっている。北米でも同様の展開を進めることで、パナソニックのブランドイメージを高めたい。今後3年で徐々に認知度を高め、将来的には日本と同じような売り場展開を目指したい」としている。

一方、調理小物製品については、従来からのベーカリーや炊飯器などに加え、デザイン性で高い評価を得ている「BREAKFAST(朝食)シリーズ」を2013年春から北米市場に投入する。同シリーズは、欧州市場向けに展開している製品群で、コーヒーメーカー、ポップアップトースター、ケトルをラインアップ。日本市場には展開していない製品群だ。「低価格の製品に比べて5倍程度。日本円で10,000円を超えるぐらいの価格設定になる」という。なお、同シリーズは中国で生産し、欧州および米国市場に展開。日本市場への投入計画については、「現時点ではない」(パナソニック幹部)という。

また、理美容商品および調理小物製品の販売拡大の一環として、これら製品に直接触れられる場として、米ニューヨークのマンハッタン近郊に「Experience Shop」をオープン。さらに、Amazonなどのオンライン販売を強化。加えて、高級調理器具専門店などの販路開拓も加速し、増販を図る姿勢をみせている。

同社の目標では、北米におけるアプライアンス事業全体の売上高は2011年度実績で200億円未満。これを2013年度には、美容商品、健康商品、調理小物、エアコン事業の強化に加え、既存の電子レンジや掃除機などの拡販によって、2011年度比で2桁成長を目指すという。また、エアコンについては、旧三洋電機のエアコン商品群と販路を統合。VRF(ビル用マルチエアコン)とスプリットタイプエアコンを本格的に展開する考えも示した。北米におけるエアコン事業の売り上げ規模は、2012年度見通しで約30億円。2013年度は2桁成長を目指すという。